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剣道の試合前1ヶ月の練習|勝つ仕上げ方を日本一が解説

この記事は、剣道の試合前1ヶ月に「何を練習すればいいのか」を、4週前から1週前まで週別に整理したものです。仕上げの方向を先に決めておくことが、本番での結果につながりやすくなります。

逆に、ここを間違えてやみくもに走り込みや量ばかりを増やすと、疲れだけが残って本番で力が出ないということが起きます。まずは全体像から見ていきましょう。

こんな悩みはありませんか?
  • 試合前1ヶ月、結局なにを練習すればいいのか分からない
  • 練習ではできるのに、本番になると力が出せない
  • 得意技の仕上げ方が分からず、当てにいくだけになってしまう

結論からお伝えすると、大切なのは試合前1ヶ月を「週別の重点」で組み、”当たり”を”一本”に仕上げることです。今回の記事で学べることは下記のとおりです。

  • 試合前1ヶ月の練習を4週前→1週前の週別でどう組むか
  • 全国の舞台で使ってきた実戦練習(勝ち上がり・想定練習)の具体
  • 引き技・応じ技を試合の武器に仕上げる方法
  • 練習を「試合モード」へ切り替える考え方

先に結論(時期別の早見表)だけ知りたい方は、こちらの早見表へジャンプしてください。

筆者プロフィール

彪雅KENDO合同会社
代表 梶谷 彪雅

大分県出身。高森中学校、九州学院高等学校、明治大学卒業。剣道の全国大会で9回の優勝(日本一)を経験。現在は指導者として彪進会を主宰し、全国で稽古会を行っています。

目次

結論:試合前1ヶ月は「時期別の重点」で練習を組む【早見表】

先に結論をお伝えします。試合前の1ヶ月で意識すべきなのは、1ヶ月で筋力は増えない前提で、今できる技を「試合で決まる形」に仕上げることです。

そのために、同じ練習をただ繰り返すのではなく、週ごとに重点を移していきます。まずは全体を早見表で確認してください。気になる時期の「詳しく」からジャンプできます。

時期練習の重点(→詳しく)
4週前土台・技術精度づくり(詳しく
3週前技を”実戦で使える形”へ橋渡し(詳しく
2週前実戦形式・試合モードで仕上げ(詳しく
1週前量を落として質を確認(詳しく

焦って新しい技を増やすより、”今ある武器を磨く”ほうが本番までの近道です

時期ごとの見当がついたら、次にこの1ヶ月の全体設計から順に確認していきましょう。

試合前1ヶ月の練習の全体設計|週ごとに重点が移る

試合前1ヶ月の練習は、”同じメニューの繰り返し”ではなく、週ごとに重点を移していくのが仕上げの基本です。土台づくりから始め、少しずつ試合に近い形へ寄せていきます。

正直に言うと、この1ヶ月で筋肉を大きく増やしてスピードを一気に上げるのは難しいです。ただ、できることはあります。

ポイント:筋力を増やすことよりも、筋持久力を高めたり、今ある技の精度とスピードを上げたりすることは十分に可能です。狙いは「今できることの精度を上げる」ことに絞りましょう。

なお、この記事で扱うのは「1ヶ月で何を練習するか」です。練習量の落とし方や当日の過ごし方まで詰め込むと、内容がぼやけてしまうので、時系列の調整については別記事に役割を分けています。

練習量をどう落とすか、当日どう動くかといったコンディション調整の全体像は、こちらの記事で詳しく解説しています。

体づくりの土台として栄養面が気になる方は、プロテインを摂るタイミングの記事もあわせてどうぞ。

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それでは4週前から1週前まで、週ごとに何を練習するのかを順に見ていきます。

週別の練習内容|4週前→1週前の詰め方【比較表】

まず全体を表で整理します。時期ごとに「練習の重点」と「狙い」がどう移っていくかを押さえてください。回数や時間は一例・目安であり、無理な追い込みは避けてください。

時期練習の重点狙い
4週前基本打ちのキレ、円の足さばき、得意技の洗い出し筋持久力とスピードの土台+課題の明確化
3週前技練→地稽古への転用、崩し、引き技・応じ技の反復「打てる技」を「決まる技」へ橋渡し
2週前勝ち上がり・想定練習・試合形式練習の質を”試合モード”へ切り替える
1週前量を落として質を保つ、最終確認コンディションを整え、崩さない

4週前|土台と技術精度をつくる

4週前は、基本打ちのキレや反発の出し方といった技術の精度を上げる時期です。あわせて円の足さばきで心肺の土台をつくり、自分の得意技と課題を洗い出しておきます。

ここで「自分は何で点を取るのか」がはっきりすると、残り3週間の練習の狙いが定まります。逆に課題があいまいなまま量だけこなすと、仕上げの方向がぶれてしまいます。

そもそもの地力をもっと上げたい、基礎から底上げしたいという方は、こちらの記事で具体的な練習法を解説しています。

3週前|技を”実戦で使える形”へ橋渡し

3週前は、技の練習を地稽古へすぐ転用できるかを試す時期です。あわせて攻めで相手を崩す稽古、引き技・応じ技の反復に入っていきます。

大切なのは、打って終わりにしないことです。小手や面を打った後の寄せ方・決め方まで含めて「決まる技」にすると、試合での見え方がまったく変わってきます。

この3週前に反復した引き技・応じ技は、後半の「得意技の仕上げ方」でそのまま武器になります。ここで仕込んだ技を、2週前の実戦で出せるかどうかが仕上げの分かれ目です。

2週前|実戦形式で”試合モード”へ仕上げる

2週前は、勝ち上がりや想定練習、試合形式など実戦の形を増やす時期です。3週前までに磨いた得意技を、試合の場面でちゃんと出せるかを確認します。

ポイントは、緊張感のある一本勝負を取り入れること。負けたら悔しい状況をつくることで、練習の質が一気に本番へ近づきます。この実戦練習の具体は、次の章で詳しく解説します。

1週前|量を落として質を”確認”する

1週前は、得意技と足さばきの最終確認だけに絞ります。ここで新しいことを詰め込む必要はありません。今できることを崩さず整えるのが役割です。

ただし、量の落とし方を間違えると、逆に体が重くなったり調子を崩したりするので注意が必要です。ここは繊細な部分なので、詳しくは調整の専用記事に譲ります。

練習量をどう落とすか、当日にどうピークを合わせるかの時系列の調整は、こちらの記事にまとめています。

特に「試合1週間前は体を休めたい」「体調を崩したくない」という方は、休養に絞ったこちらの記事も参考になります。

2週前で出てきた”実戦練習”を、次の章で具体的に解説していきます。

試合前に効く実戦練習|勝ち上がり・地稽古・想定練習

ここからは、僕が稽古会でも実際にやっている実戦練習を紹介します。「練習でできる」を「試合で出せる」に変えるための稽古です。まずは全体像から。

  • 勝ち上がり(相掛かり一本勝負)で本番の緊張感を作る
  • 地稽古で”転用チェック”|その日の技をすぐ使えるか
  • 想定練習と”崩れた瞬間だけ打つ”稽古

勝ち上がり(相掛かり一本勝負)で本番の緊張感を作る

勝ち上がりは、相掛かりからの一本勝負です。勝ったら上がる・負けたら下がるという勝ち残り形式で行います。負けたくないという気持ちが、練習を一気に本番へ近づけてくれます。

稽古会では、一番上のグループに残った人が勝ち残っていき、最後に上位の2人が僕と試合をする、という形で締めることもあります。この一本の重みが、本番の感覚を作ってくれます。

地稽古で”転用チェック”|その日の技をすぐ使えるか

技の練習をした後は、そのまま地稽古に入り、その日にやった技(決め方・崩し)をすぐ使えるかを確認します。ここが仕上げの本質だと思っています。

練習したことを、地稽古ですぐに転用できるかどうか。これができない人は、試合でも同じように対応できません。稽古と試合の橋渡しこそが、仕上げの正体です。

梶谷彪雅

地稽古でいきなり打つと、面や小手が中途半端になる人が多いです。だからこそ、打った後の寄せ方・決め方まで意識して稽古すると、動きが実戦のものに変わっていきます。

想定練習と”崩れた瞬間だけ打つ”稽古

想定練習は、片方が打たせない役、片方が取りに行く役に分かれて行います。相手が簡単に打たせてくれない場面で、どこを狙うのかを体に入れていく稽古です。

あわせて取り入れたいのが、元立ちに攻めを続け、「崩れた」と感じた瞬間だけ打つ稽古です。崩れていなければ打ちません。これで当てにいくクセが消え、一本になる打ちが身についていきます。

足が止まったところを打たれます。竹刀を持たず、足だけでさばく練習もおすすめです

足さばきは常に動き続けるのが基本です。竹刀を持つとどうしても手に意識がいくので、あえて竹刀を置き、足だけを切り出して反復すると、さばきの感覚がつかみやすくなります。

実戦練習で出していく”得意技”を、次の章で仕上げていきましょう。

得意技の仕上げ方|引き技・応じ技を試合の武器にする

得意技がないという方でも、引き技と応じ技は短い期間でも武器にしやすい技です。ここでは、その仕上げ方を具体的に見ていきます。

引き技を”逃げ”から”攻め”の武器へ

引き技の本質は「打つ技」ではなく「後退しながら打つ技」です。「打って下がる」ではなく「一歩下がりながら打つ」という順番が命で、ここがそろうと一本の質が上がります。

引き技で大事になるポイントは、次の3つです。

①打突力・踏み込み・重心の乗せ方

重心をうまく乗せられると、自然と強く踏み込めます。踏み込みと重心はセットで考えるのがコツです

②下がるスピード

打った後にどれだけ速く間合いを切れるか。ここが遅いと、返し技をもらいやすくなります

③変化技・タイミングずらし・崩し

普通の引き技はみんな打てます。差がつくのは、崩しやタイミングずらしといった変化技です

次に、引き技をどの瞬間に出すかを整理します。引き面・引き小手・引き胴で、狙うタイミングがはっきり違います。

引き技打つ瞬間仕上げのコツ
引き面相手が体当たりで押し込んできた瞬間竹刀を体の正面に立て、肘を引いて振り出す(絡み防止)
引き小手相手が押し返して右手が前に出た瞬間タイミングは一択でシビア。手元の変化を見逃さない
引き胴相手が面に来ようと右脇が開いた瞬間面を誘ってから。難度は高いが一本の質は最高

引き技は逃げ技ではなく攻め技です。持っているだけで前の技も通りやすくなり、相手は「鍔迫り合いになっても気が抜けない」と感じます。これが引き技を武器にする一番のメリットです。

引き技の踏み込みをもっと深めたい方は、踏み込みの記事もあわせてご覧ください。

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応じ技は”連続の感覚トレ”で作りを速くする

応じ技は、真ん中に一人立って連続で応じ技(小手など)を反復する感覚トレーニングが効きます。これを続けると、次のような力が身についていきます。

  • 次の準備までが早くなる
  • 動きの中で相手の小手をしっかり見ないと当たらない
  • 作りの速さと、次の準備からの打突精度が上がる

特に小中学生は、理屈よりも感覚で身につけさせたほうが、より早く習得できることが多いです。連続で数をこなす中で、体が自然に反応を覚えていきます。

「何が得意か」「どの場面で使うか」「どう作って打つか」。この3つを決めるのが、得意技づくりの第一歩です

“当たり”と”一本”は別物|崩れた瞬間に打つ

仕上げで一番伝えたいのが、「当たり」と「一本」は別物だということです。竹刀が当たっただけでは一本になりません。相手が崩れた瞬間に打つからこそ、旗が上がる打ちになります。

攻めには、間合い・中心・圧力といった物理的なものと、「打たれるかもしれない」という感覚を相手に与える心理的なものがあります。この攻めで相手を崩してから打つ、が一本の条件です。

観点ありがちなNG仕上がる形
打つタイミング間合いに入ったら反射で打つ崩れた瞬間だけ打つ
攻め攻めずにいきなり手を出す中心・圧力で崩してから打つ
打った後打ちっぱなしで流れる寄せ方・決め方まで含めて一本にする

おすすめの練習は、①打たずに攻めだけ5分やる、②崩れた瞬間だけ打つ、③試合動画は打つ前の2〜3秒を繰り返し見る、の3つです。打つ前の”間”に、一本の答えが詰まっています。

面打ちそのものの精度をさらに上げたい方は、面打ちの極意をまとめた記事もどうぞ。

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これらの技を”試合で出せる状態”にするのが、次の章で解説する「試合モード」への切り替えです。

練習を「試合モード」に切り替える考え方

ここまでの練習を本番でつなげる鍵が、「転用力」です。練習でできることと、試合で出せることの差を埋める考え方を、3つに整理します。

  • 稽古で覚えた技を、地稽古ですぐ転用できるか
  • 円の足さばきで、試合で動ける体を作れているか
  • 打った後の決め方まで含めて、一本にできているか

2つ目の足さばきについては、僕自身が現役時代に気づいた体感があります。数値はあくまで目安ですが、体の作り方の違いを実感したエピソードです。

体力をつけようと走り込んでも、心拍数は130ぐらいにしかなりませんでした。ところが円の足さばきをやると150から160まで上がる。走り込みより、試合で動ける体を作れると実感しました。

梶谷彪雅

3つ目は、実戦練習の章で挙げた「崩れた瞬間だけ打つ」と同じ考え方です。当てにいく練習をしていると、本番でも当てにいってしまいます。試合モードとは、この転用力のことです。

“練習でできる”と”試合で出せる”の差。それを埋めるのが、この転用力です

なお、本番で力を出しきるにはメンタルの準備も欠かせません。緊張との向き合い方や「勝てるイメージ」の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

「もう優勝した」と思って本番に臨む、というマインドの整え方はこちらにまとめています。

よくある疑問を、最後にまとめて解消していきましょう。

よくある質問|試合前1ヶ月の練習

剣道の試合前1ヶ月は何を練習すればいい?

1ヶ月で筋力を大きく増やすのは難しいので、技術の精度・筋持久力・得意技の仕上げ・実戦練習の4つに絞るのが現実的です。4週前は土台づくり、3週前は技を実戦で使える形へ、2週前は試合形式で仕上げ、1週前は確認、と週ごとに重点を移していきましょう。

直前に新しい技を試すべき?

高難度の変化技は身につくまでに時間がかかるため、試合直前に増やすのはおすすめしません。今持っている技を「試合で決まる形」まで磨くほうが結果につながりやすいです。そもそもの地力を上げたい場合は、具体的な練習法の記事を参考にしてください。

試合前は練習量を減らすべき?

練習量の落とし方やコンディション調整は、この記事ではなく時系列の調整をまとめた記事で解説しています。1週間前の休養・体調管理についてはこちらの記事をご覧ください。本記事は「1ヶ月で何を練習するか」に絞っています。

試合前の緊張対策は?

緊張との向き合い方やメンタルの作り方は専用記事にまとめています。試合はメンタルが9割という考え方と勝てるイメージの作り方「もう優勝した」と思って臨む準備をあわせて読むと、当日の心の準備が整いやすくなります。

試合前日は何をすればいい?

前日・当日の過ごし方やアップの方法は、時系列の調整記事にまとめています。本記事の範囲では、前日は得意技と足さばきを軽く確認する程度にとどめ、新しいことを詰め込まないのが基本、とだけお伝えしておきます。

得意技がない場合はどうすれば?

引き技や応じ技は、短い期間でも武器にしやすい技です。まずは「自分は何が得意か」「どの場面で使うか」「どう作って打つか」の3つを決めるところから始めましょう。この記事の得意技の仕上げ方のセクションが、その第一歩になります。

最後に、この1ヶ月の要点を振り返っておきましょう。

まとめ|試合前1ヶ月は”仕上げ”の1ヶ月

試合前の1ヶ月は、新しい力をつける期間ではなく、今ある力を”一本”に仕上げる期間です。要点を整理します。

  • 週別に重点を移す(4週前=土台→1週前=確認)
  • 実戦練習で”試合モード”へ切り替える
  • 得意技を”当たり”から”一本”へ仕上げる
  • 量の落とし方・当日の調整は調整記事で確認する

正直に言えば、この1ヶ月はきついです。でも、きついのは当たり前で、それを日頃からやれる人が伸びていきます。稽古会に何度か参加して、実際に試合で結果を出す人も出てきています。

大事なのは、この1ヶ月をやみくもに走るのではなく、「今週は何を仕上げるのか」を決めて稽古すること。方向さえ合っていれば、残りの時間で十分に間に合います。

自分の打ちが「当たり」で止まっているのか「一本」になっているのか、動画で客観的に見てもらいたい方は、僕のメンバーシップで課題を明確にしていくこともできます。

\動画分析で課題をはっきりさせたい方へ/

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