剣道普及と強豪校育成は両立できる?指導者が知るべく現実的な解決策



本日も熱く学びのある内容を皆さんにお届けしていきたいと思います。
今回のテーマは、人数を増やしていくこと(剣道普及)と、剣道の強豪校になっていくこと、これは共存・両立できるのかという問題について深く考えていきたいと思います。
この問題、実は非常に難しい課題だと感じています。
なぜなら、剣道を始めるきっかけと継続のモチベーションには大きな違いがあるからです。
剣道を始めるきっかけと継続の現実
剣道を始めるきっかけって、「防具がかっこいいな」とか「なんかちょっと楽しそうだな」とか、一時期は「鬼滅の刃を見て」というのもありました。
しかし、そんな軽いきっかけで始めた人に、いきなり強豪校の練習を提供したらどうなるでしょうか?
- かかり稽古1時間
- 100本切り返し
- 1時間の追い込み練習
- 相かかり稽古
間違いなく心が折れてしまいます。
逆に、剣道普及のために初心者に合わせた練習メニューに強豪校のチーム全員が合わせてしまうとどうなるか。
基礎基本のすり足、素振り、体の使い方、面打ちを教えて…という練習では、日本一を目指すようなチームには物足りないことになってしまいます。
理想的な解決策とその現実的な課題
コース分け指導の可能性
道場が広くて指導者も十分にいる環境であれば、以下のようなコース分け指導が理想的です
- 初心者コース:最初の1時間で基礎を重点的に指導
- レギュラーコース:残りの3時間でしっかりと上位を目指す練習
この方法なら共存は可能だと思います。
指導者不足という現実的な壁
しかし、現実は厳しいものがあります。指導者がどんどん減っている現状では
- 部活の顧問が1人しかいない
- 中学校で指導できる先生が1人だけ
- 高校でも指導者が1人のみ
このような状況で、初心者を教えて、中くらいの人を教えて、レギュラーを目指す人を教えて、本当に日本一を目指したい人を教えるというのは、道場にも限りがある中で非常に困難です。
企業の採用戦略から見る効率性の問題
これを企業の採用戦略で例えてみましょう。
大手企業が100人採用する場合を考えてみてください。
- パターンA:東大、早稲田、慶応、一橋大学、京都大学などの優秀な大学出身者を採用
- パターンB:地方の大学や高校卒業生を一から育成
頭の良さが全てではありませんが、習得スピードには明らかな差があります
- パターンA:育成期間1年、年間360万円×100人=3億6000万円
- パターンB:育成期間2年、年間360万円×100人×2年=7億2000万円
この3億円以上の差は、企業にとって大きな意味を持ちます。
剣道でも同様に、一から全てを育成するには相当な時間とコストがかかるのが現実です。
強豪校に求められる覚悟と自主性
だからこそ、強豪校には強い人たちが集まる傾向があります。
重要なのは本人の意志と覚悟です。
例えば、見学時にきつい練習を見た上で、それでも
初心者だけれども、6年生から始めたけれども、それでもきつい練習で頑張りたい
俺は絶対に強くなりたい
と自分の意志で決断した場合は話が違います。
自分の意思があるからこそ、成長度合いは早くなりますし、良い結果につながります。
しかし、「なんとなく剣道を始めました」「健康のためです」「楽しそうだから」という軽い気持ちの子に、いきなり勝つためのハードな環境を与えてしまうと、「もう剣道嫌だな」と思って辞めてしまうリスクが高いのです。
普及を重視した指導の価値と可能性
一方で、楽しく取り組める環境を提供することの価値も大きいものがあります
このように一つ一つ達成感を味わいながら進めていけば、100人のうち5人、10人が「もっと強くなりたいな」と思うようになり、その子たちが強い高校に進学する。
残りの90人は本気で頑張らないにしても、「まあ剣道続けたいな」と思ってくれて、剣道を続けてくれる人が増える。
これが普及の理想的な形だと思います。
指導者が直面する保護者からの質問
実際に、先生方から以下のような相談を受けることがあります
「保護者から『あなたは人数を増やしたいんですか?それとも勝ちに行きたいんですか?』と質問されました。どちらを優先するべきなのでしょうか?」
この質問、本当に答えに困る難しい問題です。
現実的な解決策とバランスの取り方
達成感を味わわせるだけだと、強くなりたい組が不満を持つでしょう。
逆に、強豪校の練習に全て合わせてしまうと、初心者は「嫌だな」と思ってしまう。
両立は確かに非常に難しい課題です。
しかし、以下のような工夫で改善は可能だと考えています。
適切な環境分けの重要性
- コース別指導:レベルに応じた練習メニューの提供
- 時間帯の分割:初心者向けと上級者向けの時間を分ける
- 目的の明確化:各コースの目標設定を明確にする
ただし、これを指導者1人でやれというのはかなりの負担であり、現実的には難しい環境も多いでしょう。
目的に応じた稽古会の設計例
例えば、彪進会であれば、100本切り返しを「やりたい」という人がいたらやってもいいと思います。
実際に、彪進会in福島では
第一弾:参加者の要望で100本実施
第二弾:50本実施
やりたいという子だったらやってもいい、これが基本スタンスです。
一方で
「参加者同士で交流を楽しもう」「全国の剣道仲間に知り合いを作ろう」「試合とか審判以外の剣道の楽しみ方を知ろう」「安心してできる稽古会を目指そう」
という目的の稽古会で、毎回100本切り返しや追い込み練習があったら、初心者の方は安心して参加できません。
明確な基準設定の例:九州学院剣道部
参考になるのが九州学院剣道部の入部基準です。
入部の際の必要条件として
「剣道部員としてふさわしい人、日本一を目指す高い志と技量・技術があること」
この時点で「高い技量・技術」という条件で、ある程度のレベルに達していない人は参加対象外になります。
このように目的と基準を明確にすることで、参加者のミスマッチを防ぐことができます。
まとめ:普及と強化の理想的な共存を目指して
読者が得られる内容の概要
- 剣道普及と強豪校育成の現実的な課題理解
- 指導者不足時代における効果的な対処法
- レベル別指導の具体的な実践方法
- 目的に応じた練習環境の設計ノウハウ
メリット
デメリット
強くなることは強くなること、普及は普及として、できれば共存できたら最高だと思います。
人数を増やすこと(普及)との両立は確かに難しい課題ですが、それぞれに適した指導ができる環境作りが最も重要なポイントです。
これからも強くなるための情報発信をしながら普及も頑張っていきます。
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