なぜ試合で使わない大きく面打ちを練習するのか?

試合を見ていると、刺し面・小手打ち・小手面など、コンパクトな技が中心ですよね。
大きく振りかぶって打つ場面って、ほとんどないと思います。
じゃあ、なぜ稽古では「大きく面打ち」を練習するのでしょうか?
「切り返しってなぜするの?」という疑問と同じように、この「なぜ」を深掘りすると、剣道の本質が見えてきます。
大きく面打ちが剣道を強くする本当の理由
試合で使わないのに練習する意味
結論から言うと、「大は小を兼ねる」です。
以前の素振り動画でもお伝えしましたが、大きく振ることで肩・肩甲骨・背筋を鍛えることができます。
その筋力が、小さい打突の「強さ」を生み出すんです。
肩・肩甲骨・背筋が鍛えられる仕組み
小さい技だけを練習すると、速く打つことはできます。
でも「速くて、なおかつ強い打突」はなかなか身につきません。
なぜなら、肩・肩甲骨・背筋の筋力が育たないからです。
大きく振ることで、小さい打突でもしっかり体重を乗せる力が養われます。
素振りだけでは補えないもの
「それなら素振りやタイヤ打ちだけでいいのでは?」という疑問も出てきますよね。
でも大きく面打ちには、筋力強化以上の意味があります。
ポイント①:重心移動を「ゆっくり」確認する練習法
重心移動ができていない人が多い現実
稽古会でも、30人いたら3分の1から半分は重心移動がうまくできていません。
ただ振るだけなら誰でもできます。
でも「踏み込みと打突の瞬間を合わせる」のは、全く別の話です。
大きくゆっくり打つことで、この重心の流れをじっくり確認できるんです。
振りかぶって止まる→ジャンプ→振り下ろす手順
梶谷がやる練習はこうです。
- まず大きく振りかぶって、そこで一度止まります。
- 止まった状態でジャンプして、左足から右足へ重心が移る感覚を確かめます。
- その瞬間に振り下ろし、剣先に体重が乗っているか・力が抜けていないかをチェックします。
「左足で蹴る→腰を移動させる→右足に重心を乗せる→打突を合わせる」、この流れを一つひとつ意識することが大事です。

「見てもらう」ことの重要性
難しいのは、自分では「できてる」と思いやすいことです。
踏み込みと打突が合っているか、体重が乗って見えるか、打つ瞬間に浮いていないか、これは見る人が見ればわかります。
ポイント②:予備動作(溜め)をなくす意識の持ち方
切り返しの最初の一打に潜む悪癖
切り返しの最初の面打ちを思い浮かべてください。
「はじめ」の声のあと、左足を引きつけてから、あるいは一歩入ってから振りかぶる人がものすごく多いです。
これが「予備動作(溜め)」です。
左足引きつけ・一歩入りがなぜダメか
この癖がついたまま稽古を続けると、試合でも同じことをしてしまいます。
「声を出す→一歩入る→振りかぶる」という流れが染みついて、相手にバレバレになるんです。
基本打ちは最終的に試合につなげるもの。
だから最初の入りから、溜めなしで打てる練習が必要です。
8〜9割の人に当てはまる課題と対策
正直、僕自身もつい左足を引きつけてしまいます。そっちの方が楽なんですよ。
でも稽古会に来る人の8〜9割はこの癖があります。
「溜めをなくす」を意識しながら大きく面打ちを繰り返すことで、少しずつ改善されていきます。
ポイント③:間合いを盗んで「大きく当てる」最難関練習
大きく振ってもなぜ当たるのか
大きく振りかぶれば、動きは相手にバレます。
一歩入ったり左足を引きつけたりすれば、もう読まれてしまいます。
では、どうすれば当たるのか。
相手が避ける瞬間に、上から乗るタイミングで打つんです。
半歩近づいて相手が避ける瞬間に乗る方法
一足一刀より半歩近くまで入って、そこから大きく面を打ちます。
相手が避けようとする動きより早く振り下ろして、上から乗っていく。
実際に稽古でやってみたら、これが当たるんです。
これができるようになると、小さい面打ちでも8〜9割当たるようになります。
「大きく振っても当たるなら、小さく振っても当たる」という考え方です。
一挙動の上げ下ろしが全てのカギ
ただし条件があります。
上げと下ろしを「一挙動」でやることです。
二挙動(上げて止まって下ろす)だと、100%当たりません。
左足で常に蹴り続けることで瞬間的なスピードが生まれます。
これを怠るとバレてしまいます。
もし大きく振っても当たらないなら、それは上げ下ろしが遅い証拠。
素振りの質を上げる指標にもなります。
今日から大きく面打ちの「なぜ」を意識して、ぜひ稽古に取り入れてみてください。
まとめ:大きく面打ちを制する者が、小さい技も制する
- 大きく振ることで肩・肩甲骨・背筋が鍛えられ、小さい打突に「強さ」が生まれる
- 重心移動・予備動作をなくす・間合いを盗む、この3つが大きく面打ちの本当の目的
- 大きく振っても当てられるようになれば、小さい技は8〜9割当たるようになる
「大きく面打ちを馬鹿にするべからず」
今日の稽古から、この3つを意識してみてください。
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