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剣道の振り幅を小さくする方法|先に打って負ける原因を日本一が解説

この記事は2025年3月25日のVoicy音源の内容をもとに、加筆・再構成したものです。

「先に打ったはずなのに、なぜか一本を取られる」。この矛盾に悩んでいる方は、とても多いです。同じスピードなら、先に出た方が先に当たるはず。それなのに負けてしまう正体は、実は「振り幅」にあります。

結論からお伝えすると、剣道の振り幅は「振り上げをなくし、左手で剣先を上げて右手で押し込む」だけで、驚くほどコンパクトになります。この記事では、その仕組みとコツを順番に解説していきます。

逆に言うと、振り幅を直さないまま数だけ打っても、先に出るほど合わせて打たれ続けます。スピードを上げる前に、まずは振りの大きさを見直すことが近道です。

こんな悩みはありませんか?
  • 先に打っているのに、後から出た相手に合わせて打たれてしまう
  • 稽古で「振りが大きい」とよく言われるが、直し方が分からない
  • 速く打とうとすると力んで、かえって遅くなってしまう

ひとつでも当てはまったら、この記事がお役に立てるはずです。今回学べることは、下記のとおりです。

  • 「先に打っても負ける」を生む距離と時間の因果
  • 振り幅が大きくなる4つの原因を症状から診断する方法
  • 左手で剣先を上げ、右手で押し込む小さく打つコツ
  • 素振りと実戦を分ける練習法と客観視のやり方

筆者プロフィール

彪雅KENDO合同会社
代表 梶谷 彪雅

大分県出身。高森中学校、九州学院高等学校、明治大学卒業。高校時代に全国8冠を達成し、現在は指導者として活動しています。プライベートレッスンや講演会を通じて、幅広い年代の剣士を指導しています。

先に結論と自分の症状だけ知りたい方は、次の症状別・早見表から読み進めてみてください。

目次

剣道の振り幅を小さくする答え|症状別・早見表

先に結論をお伝えします。振り幅を小さくする方法は、突き詰めると「振り上げを挟まず、構えた位置から振り下ろす」+「左手で剣先を上げ、右手で押し込む」の2点です。この2つを押さえるだけで、大きく振りかぶらずに打てるようになります。

とはいえ、原因は人によって少しずつ違います。まずは自分がどの症状に近いかを、下の早見表で当てはめてみてください。気になる行にあるリンクから、該当する章へジャンプできます。

こんな症状考えられる原因対処(ジャンプ)
先に打っているのに後から負ける振り幅が大きく距離が長い→ 因果を理解
「振りが大きい」と言われる・起こりを読まれる手打ち・振り上げ・力み→ 原因を診断
速く打てない・小さく打つと弱くなりそう左右の手の役割分担ができていない→ 打ち方のコツ

まずは「自分がどの症状か」を掴んでから読み進めると、直すべきポイントがぐっと絞れます

症状の見当がついたでしょうか。まずは、そもそもなぜ振り幅を小さくすると強いのか、その因果から確認していきましょう。

なぜ振り幅を小さくするのか|「先に打っても負ける」本当の理由

普通に考えれば、先に動いた方が先に当たります。物理的にはそのはずです。それなのに剣道では、先に出た人が負けてしまう場面がよくあります。

結論から言うと、先に打っても負けるのはあなたが遅いからではなく、「振り幅が大きい」からです。スピードではなく、振りの大きさが勝負を分けています。

振り幅が大きいと、打突までの距離が長くなります。その分、時間がかかる。だから先に出ても、後から出た相手にコンパクトに打たれてしまうんです。

梶谷彪雅

この「距離」と「時間」の関係を、もう少し分解してみます。大きい振りと小さい振りを並べると、違いがはっきり見えてきます。

観点大きい振り小さい振り(コンパクト)
打突までの距離×:振り上げた分、振り下ろす距離が長い○:構えた位置から直接振り下ろす
先に出たときの結果×:時間がかかり、後から出た相手に合わせられる○:出遅れても最短距離で間に合いやすい
相手からの読まれやすさ×:起こりが大きく読まれやすい○:起こりが小さく反応されにくい
竹刀の使い方×:棒のように振り回しがち○:しなりを使い、左手で上げ右手で押し込む
向いている場面△:素振りで操作能力を鍛えるには有効○:実戦・地稽古・試合の打ち合い

振り幅が大きいと「距離」が長くなる

振り幅が大きいということは、竹刀を大きく振り上げているということです。振り上げた分だけ、そこから振り下ろす距離も長くなります。剣先が面に届くまでの道のりが、そもそも遠回りになっているのです。

一方、振り幅が小さい人は構えた位置から直接振り下ろすので、剣先が最短距離で面へ向かいます。同じ面を打つのでも、通る道の長さがまったく違うわけです。

距離が長い=「時間」がかかる

距離が長ければ、その分だけ時間がかかります。だから先に動き出しても、遠回りしている間に、後から最短距離で出てきた相手に追い抜かれてしまうのです。

先に出たのに負けるのは、スタートが遅いのではなく「通る道が遠回り」だから。ここを取り違えると、いくら反応速度を上げても勝てません。

起こりが大きいほど「読まれやすい」

もうひとつ見落としがちなのが、起こり(振りかぶり)の大きさです。大きく振りかぶるほど、相手に「今から打つぞ」というサインを送ってしまいます。すると合わせて打たれたり、返し技を食ったりしやすくなります。

小さい面そのものの打ち方を体系的に知りたい方は、こちらの完全ガイドも参考になります。

因果がつかめたら、次は「では、なぜ自分の振りは大きくなるのか」です。症状から原因を診断していきましょう。

振り幅が大きくなる4つの原因|症状から診断する

振り幅が大きくなる原因は、大きく分けて4つあります。まずは全体像をつかみましょう。

  • 手打ち(右手主導で引き上げて振りかぶる)
  • 素振りのイメージのまま実戦で大きく振り上げる
  • 力み(竹刀を棒のように固く握って振り回す)
  • 起こりが大きい(振りかぶりを相手に読まれる)

自分がどれに当てはまるかは、出ている「サイン」から逆算すると分かりやすいです。下の診断表で確認してみてください。

症状(サイン)原因対策
右手に力が入り竹刀が立つ・お腹あたりで振る手打ち右手を緩め、左手で剣先を上げ右手で押し込む(→コツ②)
構えから一度大きく振りかぶってから打つ素振りイメージのまま実戦は振り上げず「振り下ろすだけ」に切り替える
打突が硬い・遅い、しなりが死ぬ力み竹刀をしなるものとして扱い、手の内の締めで冴えを出す
先に出ているのに合わせて打たれる・返し技を食う起こりが大きい起こりを小さく・相手の起こりを予測して打つ

原因①:手打ち(右手主導で引き上げる)

右手に力が入りすぎると、右手で竹刀を引き上げるクセがつきます。すると竹刀が立ち、お腹のあたりで大きく振る動きになってしまいます。これがいちばん多い原因です。

対策はシンプルで、右手を緩め、左手で剣先を上げて右手は押し込むだけにすること。これはこの後の「コツ②の役割分担」そのものなので、後ほど詳しく解説します。

なお、握りや締めといった手の内そのものを深く掘り下げたい方は、専用の記事に集中してまとめています。

原因②:素振りのイメージのまま実戦で振り上げる

素振りのイメージが強いと、実戦でもつい「振り上げて、振り下ろす」という2段階の動きになります。素振りは竹刀の操作能力を鍛えるのに大切ですが、そのままの大きさでは実戦のコンパクトな打ちには向きません。

実戦では「振り上げず、構えた位置から振り下ろすだけ」に切り替えます。素振りと実戦で意識を分けることがカギです。素振りの中身をもう一度整えたい方は、こちらの完全ガイドが役立ちます。

原因③:力み(竹刀を棒のように握る)

竹刀を棒のように固く握って振り回すと、打突が硬く、遅くなります。竹刀本来の「しなる感覚」も死んでしまいます。力めば力むほど、振りは大きく重たくなるという悪循環に陥りがちです。

対策は、竹刀を「しなるもの」として扱い、手の内の締めで冴えを出すこと。この締めの細部については、上でも触れた手の内の記事で深掘りしています。

原因④:起こりが大きく読まれる

先に出ているのに合わせて打たれる場合は、起こりが大きく相手に読まれている可能性が高いです。起こりを小さくするのはもちろん、視点を変えて「相手の起こりを予測して打つ」という考え方も効いてきます。

原因が見えてきたでしょうか。ここからはいよいよ、振りを小さくする具体的なコツに入っていきます。

小さく速く打つコツ|左手で剣先を上げ、右手で押し込む

ここがこの記事の核心です。多くの解説は「右手首のスナップ」を主役に置きますが、それだけでは振りは安定しません。大切なのは左手と右手の役割分担で振り幅を制御することです。

言葉だけだと少し難しいので、できれば竹刀を持って、実際に試しながら読んでみてください。まずは実践ステップの全体像です。

  • 構えた位置から振り下ろすだけ(振り上げを挟まない)
  • 左手(薬指・中指)で剣先を上げ、右手で押し込む
  • 右手は緩めておき、打つ瞬間だけ前へ押し込む
  • 竹刀のしなりを使い、小さい振りでも冴えを出す

コツ①:構えた位置から「振り下ろすだけ」

実戦では、腕を振り上げるのではなく、振り下ろすと考えます。素振りのイメージがあると、つい「振り上げて、振り下ろす」の2段階になりますが、実戦は構えた状態から振り下ろすだけ。この意識だけでも、振り幅はかなり小さくなります。

コツ②:左手で剣先を上げ、右手で押し込む

ここが最大のポイントです。左右の手には、それぞれ違う役割があります。この分担を表で整理してみます。

力の入れ方役割
左手(薬指・中指)しっかり握る・足元方向へ引く剣先を上げる・軌道を作る
右手緩める→打突時に押し込む振り上げず前へ押し込んで打突を完成

左手で剣先を上げて、右手で押し込む。重心を下に落として、右手で押し込む。この感覚が大事なんです。

梶谷彪雅

具体的な手順は、次のとおりです。実際に竹刀を持って、ひとつずつ確かめてみてください。

① 右手を緩める

右手の力を抜きます。最初は手の内と竹刀に少し隙間ができるくらいでもかまいません。

② 左手で剣先を上げる

左手の薬指・中指をグッと握り、左手を足元の方向へ持っていきます。すると剣先が勝手に上がります。右手が一緒に下がると剣先が落ちるので注意です。

③ 右手で押し込む

剣先が上がったら、右手で前へ押し込みます。腕を若干前に伸ばすと、お腹の前で振らずに、振り上げなくても面が打てます。

まずは打たなくてOKです。「右手を緩める→左手で剣先が上がる」の感覚だけ、その場で何度か試してみてください。

この原因①の手打ちで悩んでいた方は、まさにこの役割分担が特効薬になります。上の診断表で「右手に力が入り竹刀が立つ」に当てはまった方は、右手を緩めるところから始めてみてください。

コツ③:竹刀の「しなり」を使う

棒は硬くて動きませんが、竹刀は違います。若干しなる感じがあります。これはあくまで感覚的な表現ですが、手の内を締めて打つと、この「しなり」の感覚が生まれます。

この感覚を使うと、振り幅を小さくしても冴えを出しやすくなります。小さい振りは「弱い」のではなく、しなりと役割分担で冴えを出す打ち方だと考えてください。

手の内の締めそのものを掘り下げたい方は、上で紹介した手の内の記事へ。この章では「振り幅の制御」に話を絞っています

コツ④:手首だけで打とうとしない

イメージとしては「手首の返り」に近いです。ただし、ここが競合の解説と大きく違うところで、手首だけで打とうとするのは避けてください。手首スナップ一辺倒になると、打ちが軽くなりやすいです。

本質は、あくまで重心を下に落として、右手で押し込むこと。左手で剣先を上げ、右手で押し込む。手首は結果としてついてくるもの、くらいの感覚がちょうどよいです。

手の内の締めや打突の冴えを、道具の面からも支えたい方は、僕が監修した竹刀のガイドも用意しています。押し売りするつもりはないので、興味があれば覗いてみてください。

コツが分かっても、身につけるには練習と「客観視」が欠かせません。次の章で、その具体的な進め方を見ていきます。

「もっと強くなりたい」を、ここで叶える。

全国大会9回優勝の梶谷彪雅が、あなたの剣道を直接指導。試合分析・技術解説・質問し放題の環境がここにあります。

振り幅を小さくする練習法|素振りは大きく、実戦は小さく

コツを知っても、身体に落とし込むには練習が必要です。ここでは3つの練習法を紹介します。まず前提として、素振りと実戦は意識を分けます。

素振りは竹刀の操作能力を鍛えるためにすごく大事です。でも実戦で細かくコンパクトに打つには、振り下ろしだけを意識する必要があります。

梶谷彪雅

練習法①:素振りで力を養い、実戦は振り下ろしだけ

素振りは、竹刀の操作能力と「振り下ろす力」を養う土台です。ここは大きく振ってかまいません。一方で実戦では、そのうちの振り下ろしだけを切り出して使います。土台づくりと実戦を、はっきり分けて考えるのがコツです。

素振りの中身そのものを整えたい方は、打突力を上げるコツをまとめた完全ガイドも参考にしてください。

練習法②:竹刀を持って役割分担を反復する

コツ②で確認した「右手を緩める→左手で剣先を上げる→右手で押し込む」を、竹刀を持って何度も反復します。打つことより、手の役割を身体で覚えることが目的です。ゆっくりで良いので、順番どおりに繰り返してみてください。

竹刀を回す動きや、二段技のスピードに課題がある場合は、竹刀操作に特化した練習法も合わせて確認すると理解が深まります。

練習法③:動画で客観視する

これが上達を大きく加速させる方法です。動画を止めながら見ると、振り幅の違いがはっきり分かります。「先に出ているのに、振り幅が小さい相手が先に当たっている」という瞬間も、止めて見ると一目瞭然です。

大切なのは、自分の振り幅や起こりは、自分ではなかなか気づけないという点です。だからこそ、動画で客観的に見返すことに価値があります。

動画を見るときは、コツ②で確認した「左手で上げ、右手で押し込む」が崩れていないかを重点的にチェックしてみてください。起こりの大きさや、打つ前に竹刀が立っていないかも要注意です。

これは一流の選手でも同じです。僕自身、後輩に「今、振り幅が大きいですよ」「入りが大きいですよ」と指摘してもらうことがあります。自分では気づけないからこそ、客観的な目が要るのです。

練習が大前提です。そのうえで「気づかないと改善できない」のも事実。意識付け→改善のサイクルを回すために、客観視をセットで取り入れてみてください。

自分の動画を撮って、コツ②の役割分担が崩れていないかチェックする。これを続けるだけで、振りは着実に小さくなっていきます

ここまでで、原因からコツ、練習法までを一通り押さえました。残った細かな疑問は、次のFAQでまとめて解消していきましょう。

剣道の振り幅に関するよくある質問

剣道で振り幅を小さくするにはどうすればいい?

実戦では振り上げを挟まず、構えた位置から振り下ろすだけを意識します。さらに左手(薬指・中指)で剣先を上げ、右手で押し込む役割分担を加えると、大きく振りかぶらずに打ちやすくなります。まずはこの2点から始めてみてください。

先に打っているのに負けるのはなぜ?

振り幅が大きいと打突までの距離が長くなり、その分だけ時間がかかります。だから先に出ても、後から最短距離で出た相手に合わせて打たれてしまいます。原因はスピードより、振り幅の大きさにあることが多いです。

小さく打つと打ちが弱くならない?

竹刀は棒と違い、手の内の締めで生まれる「しなり」の感覚を使えます。これを活かせば、振り幅を小さくしても冴えのある打突を出しやすくなります。小さい=弱い、ではありません。まずは役割分担で軌道を安定させることが先決です。

竹刀の「しなり」とは?

棒は硬くて動きませんが、竹刀は若干しなる感覚があります。手の内を締めて打つとこの感覚が生まれ、小さい振りでも打突を通しやすくなります。あくまで感覚的な表現で、竹刀が大きく曲がるという意味ではない点にご注意ください。

子どもの大きい振りは直すべき?

素振りなどで竹刀の操作能力を養う時期は、大きい振りも有効です。実戦で通用させる段階になったら、少しずつコンパクトな振りへ移行していくとよいでしょう。段階に応じて、大きい振りと小さい振りを使い分けるのが大切です。

手首のスナップで打てばいい?

手首の返りに近い感覚は使いますが、手首だけで打つわけではありません。左手で剣先を上げ、重心を下に落として右手で押し込むのが本質です。手首スナップ一辺倒にしないことが、安定した小さい打ちのコツになります。

小手も小さく打った方がいい?

小手も、面と同じく起こりが小さいほど相手に反応されにくくなります。ただし小手には手元の狙いどころなど独自のポイントがあります。小手を小さく確実に当てるコツは、小手打ちの完全ガイドで詳しく解説しています。

小手を小さく打つコツを深く知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

疑問が解消できたら、最後に要点を振り返って締めくくりましょう。

まとめ|振り幅を小さくして「先に打って勝つ」へ

剣道の振り幅を小さくする方法を、因果から練習法まで解説してきました。最後に要点を整理します。

  • 先に打っても負けるのは距離×時間の因果(振り幅が大きい=遠回り)
  • 実戦は振り上げず、構えた位置から振り下ろす
  • 左手で剣先を上げ、右手で押し込む役割分担で制御する
  • 自分では気づけないので動画で客観視する

いちばん覚えてほしいのは、小さい振りは「弱い」のではなく、しなりと役割分担で冴えを出す打ち方だということ。振り幅を小さくすることは、打ちを弱くすることではありません。

今日お伝えした「左手の使い方、右手の使い方」を意識して、振り上げを大きくせずに強く打つことに挑戦してみてください。積み重ねれば、「先に打って勝つ」に近づいていけるはずです。

\手の内・打突の冴えを道具から支えたい方へ/

「もっと強くなりたい」を、ここで叶える。

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