ゼロシューズを1年半履いた剣道家|日常を稽古化する足裏トレーニング論

「剣道は裸足の競技なのに、普段は厚底スニーカーで生活していて、足の裏の感覚が鈍くなっていないか」――こんなこと、考えたことはありますか?
僕は約1年半、ゼロシューズというベアフットシューズを履き続けてきました。普段の生活そのものを「足の裏のトレーニング」に変えるためです。そしてついに先日、相棒のゼロシューズが壊れてしまいました。
今日はこの1年半の体験談を共有しながら、「日常を稽古に変える」発想と、変わり者であることを誇りに思う生き方について書いていきます。
今回の記事で受け取れることは下記のとおりです。
- ゼロシューズとは何か/普通のスニーカーとの違い
- 剣道の踏み込み・蹴り出しに直結する足の裏の強化
- 1年半履き続けた変化と弊害
- 「変わり者でいい」という挑戦の哲学
ゼロシューズとは?「ほぼ裸足」で歩く靴
知らない方のために、まずゼロシューズについて説明します。
これはアメリカ発祥の「ベアフットシューズ」(=裸足の靴)の一種。靴底が極端に薄く、ほぼゴム1枚を足にくくりつけているだけ、というレベルのペラペラ感です。
| 項目 | 普通のスニーカー | ゼロシューズ |
|---|---|---|
| 靴底の厚さ | 2〜3cm(クッション入り) | 数mm(ほぼゼロ) |
| かかとの高さ | つま先より少し高い | つま先と同じ(ゼロドロップ) |
| 姿勢 | 重心がわずかに前へ | 裸足と同じ自然な姿勢 |
| 地面の感触 | ほぼ感じない | 小石・床のひんやり感までダイレクト |
夏のアスファルトは熱く、冬の地面は冷たい。雪の中を歩けば足の指の感覚がなくなる。「ほぼ裸足で生きている」感覚です。
店員さんに「これおすすめですよ」と教えてもらって買ったのが最初でした。7,000〜8,000円。妻には「そんなものに金を払うな」と怒られましたが、今では本当に良い買い物だったと思っています。
剣道は「足の裏が命」の競技
なぜ僕がゼロシューズに惹かれたのか。それは剣道は完全に「足の裏の競技」だからです。
- 道場の床を踏みしめる感覚
- 試合場の感触の違いを察知する感覚
- 踏み込みの瞬間に足裏全体で押す感覚
- 蹴り出しで母指球から力を伝える感覚
すべて「足の裏のセンサー」が拾っています。でも普段、クッションたっぷりのスニーカーを履いていると、このセンサーがどんどん鈍くなる――これが現代剣士の盲点だと、僕は思っています。
バスケのプロ選手も、指のつかむ感覚を養うためにあえて練習で裸足になる時間を作る方がいます。それくらい、足裏感覚は競技力に直結します。
怪我からの復帰で気づいた「足裏の弱さ」
僕がゼロシューズに本気でハマったきっかけは、怪我のリハビリ期間でした。
復帰直後、かかとが激痛
怪我から復帰して稽古に戻った時、かかとがめちゃくちゃ痛くなったんです。原因を考えていくと、足の裏全体の強化が足りていないことが見えてきました。
そこで取り組んでいたのが――
- 裸足で砂利道のラダートレーニング
- 足つぼマッサージ的な地面での踏み込み練習
- 道場以外でも裸足の時間を意図的に作る
でも問題は「稽古時間以外は厚底スニーカー」だったこと。トレーニングの時間より、普段の生活で過ごす時間の方が圧倒的に長い。普段の足裏感覚を起こさなければ、いつまで経っても本質的な強化は終わらないと気づきました。
「日常を稽古に変える」という選択
ここからが、剣道家として僕がいちばん伝えたいテーマです。
プレイヤーとして強くなり続けたい、でも事業・YouTube・指導もあって稽古時間は限られている――この状況で、「稽古時間そのものを増やす」のではなく「稽古時間以外を稽古に変える」発想に切り替えました。
ゼロシューズ+10kgのリュック
移動距離が多い僕の場合、ゼロシューズ+10kgのリュックで街を歩くだけで、それなりのトレーニングになります。
・薄底の靴で足裏感覚を起こす
・10kgの負荷で下半身強化
・移動という「やらざるを得ない時間」を完全活用
――稽古場に行く前から、もう稽古が始まっている
これは「環境を変えるだけで、努力ゼロでトレーニングできる仕組み」です。意思の力で稽古時間を作るのは難しい。だからこそ、日常そのものを稽古化する。これが時間の使い方の本質だと思います。
1年半で起きた、体の変化
正直に言います。履き始めて最初の数週間は、本当に痛かったです。
痛みのフェーズ別変化
| 時期 | 体感 |
|---|---|
| 履き始め〜1ヶ月 | 駐車場の小石でも激痛、長距離は無理 |
| 3ヶ月〜半年 | 小石くらいなら平気になる、足裏の皮が厚くなる |
| 半年〜1年 | ガタガタした地面が「足つぼ」感覚で気持ちいい |
| 1年〜1年半 | 踏み込みの痛みが消え、足裏の感覚が完全に戻る |
怪我復帰直後にあったかかとの痛みも、今では完全に消えました。これは1年半続けた成果として、はっきり感じています。
剣道の踏み込みでも、稽古会で激しく動いた翌日でも、足裏のトラブルが激減。地味だけど、確実に効いている体の変化です。

個別指導・講演会
日本一9回が、その場で癖を見つけて、その場で直す。
マンツーマン、または最大3名の少人数で、実際に竹刀を交えて稽古できます。動画や言葉では届かない”手元の違和感”を、1回の稽古で1つ以上持ち帰ってもらう。これが個別指導の一番の価値です。
- 日本一9回の経験をそのまま共有(同じ壁は必ず通ってきた)
- 道場・学校・ご家庭の個人稽古、いずれも対応可能
- 初回ヒアリング無料。まずは現状を聞かせてください
※道場・学校単位での講演会・稽古会のご依頼もこちらから承っています。
ゼロシューズの弊害:周りからの「ツッコミ」
正直、ゼロシューズには見た目の弊害があります。誰にも勧めるつもりはないんですが、僕がよく言われる声を共有しておきます(笑)。
- 「そんなの東京で履くな」
- 「ちゃんと靴履けよ」
- 「日本人じゃないみたい」
- 「裸足に見えるからやめてくれ」
正直、見た目は良くないです。スリッパみたいだし、かっこよくもない。妻からも「自分で作れ」と言われます。
「変わり者でいい」という挑戦の哲学
でも、ここからが今日いちばん伝えたいことです。
誰も履いていないような靴を履いていると、「自分は新しいことに挑戦しているんだ」という気持ちになれて、すごく嬉しいんです。
「みんなが履いているやつ」を僕も同じように履く方が、僕にとってはむしろ嫌。変わり者でいることが、僕にとっての快楽です。
剣道にも「型破り」の領域がある
剣道にも、規範通り正しく打つ大事な「型」があります。これは絶対に否定しません。でも、その上で型を破っていく挑戦の領域も必ずあるんです。
水平切り返しのような新しい伝統練習に出会ったり、両足入りで攻め込んだり――基本だけで終わらせない選手が、最終的に新しい技を生み出す。これは僕が小牛田農林さんなど他の道場を訪ねるたびに痛感していることです。
みんなと同じ生き方からは、みんなと同じ結果しか出ない
これは剣道だけじゃありません。人生も同じ。みんながやっているから自分もそうしよう、と思っていると、結局みんなと同じ結果しか得られないんです。
僕はYouTubeを始めた頃も「剣道でお金稼ぐなんて非常識だ」とたくさん言われました。今でも、新しい挑戦をするたびに同じような声をいただきます。でも――
そう言われるたびに、僕は「誰もやってこなかったことに挑戦してるんだな」と確信できます。みんなの意見を全部取り入れていったら、できあがるのは「大衆車」。尖った車は、規制をかいくぐって作られるからこそ価値があります。
結局、ゼロシューズはどうするのか
話を戻すと、僕の相棒のゼロシューズは紐の部分が取れただけなので、紐を変えて後ろで結べば再生できそうです。
ゴム底もだいぶ薄っぺらくなってきているので、新調も検討中。ただ、この1年半の相棒には、本当に感謝しています。
今日からあなたができる3つの小さな一歩
まとめ:足裏の感覚と、生き方の感覚
本記事の要点を整理します。
- 剣道は「足の裏が命」の競技。普段の靴選びが競技力に影響する
- ゼロシューズは裸足に近い感覚で歩ける薄底靴
- 怪我復帰のかかとの痛みが1年半で完全に消えた
- 「稽古時間を増やす」より「日常を稽古化する」方が現実的
- 見た目は弊害あり。でも変わり者であることは挑戦の証
- みんなと同じ生き方からは、みんなと同じ結果しか出ない
剣道は「足元から始まる競技」です。同じように、人生も足元――つまり日常の選択から作られていきます。何を履くか、どう歩くか、何に挑戦するか。小さな選択の積み重ねが、未来の自分を決めます。
全国制覇手ぬぐい、メンバーシップ、講演会――僕がやっていることは全部、誰かが「非常識だ」と言うかもしれない挑戦です。でもその全部が、僕にとっては足元から積み上げる稽古と同じ。みんなと違う道に、自分の信念で立ち続ける。それでいいと思っています。









