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小手打ちが一本にならない理由|打った後の”前傾姿勢”で寄せが劇的に速くなる

この記事は、梶谷彪雅のVoicy(2026年1月31日放送)の内容をもとに、ブログ用に再構成したものです。

目次

お子さんの小手、「当たっている」のに一本にならない理由

小手には当たっている。でもなぜか一本にならない。

こんな悔しい経験、お子さんにありませんか?

実は打った後の「寄せ」が遅いことが、原因の9割です。打突そのものより、打った後の足さばき・体勢が一本を左右するんです。

今日は、全国大会9回優勝の実戦感覚から、「小手を打った後の正しい足さばき」と、多くの人が見落とす体勢のポイントをお伝えします。

打った後の足さばきは「2種類」ある

まず前提を整理します。小手を打った後の足さばきには、大きく2つのパターンがあります。

パターン①:右足をもう一度前に出す

打突後、右足でもう一歩踏み出していくスタイル。勢いを殺さず前進を続けられるのが特徴です。

パターン②:左足を引きつけながら体を寄せる

打突後、左足をサッと引きつけて体当たりに移行するスタイル。私自身はこちらを使います。

どちらが正解か、と聞かれると答えは「どちらでもいい」。世界選手権選抜クラスの選手も、全日本選手権優勝者も、両方のパターンで結果を出しています。大事なのは寄せのスピードです。

梶谷彪雅

つまりお子さんがどちらのスタイルでも構いません。「打った後に速く寄せられているか」——ここだけが本当の分かれ道です。

寄せが遅い子の共通点は「体が立ったまま」

指導していて、小手の寄せが遅い子には共通の特徴があります。

打った後、体が反っているか、床に対して直立したまま相手に向かっているんです。

でも、打突は体をまっすぐにして打てって習いましたよ?

おっしゃる通りです。そしてその教えは正しい——ただし「打つ瞬間」までの話です。

打突する瞬間は体をまっすぐにして打つのが正解(突っ込むと手打ちになる)。でも打った「後」は話が別です。打った後も直立のままだと、寄せのスピードは絶対に出ません。

ここを混同している子が本当に多いんです。

陸上のスタートを見れば、答えがわかります

ここで陸上競技をイメージしてください。

100m走のスタート——クラウチングスタートの瞬間、選手はいきなり直立で走り出しますか?

走り出しませんよね。最初の10歩くらいまでは、体を思い切り前傾させて走る。スピードが乗ってから、徐々に体を起こしていく。

これは人類が何十年もかけて「一番速いスタートの体勢」を研究した結果の答えです。止まった状態から一気に前に進むには、前傾姿勢が最速なんです。

剣道の打突後は「止まった状態」に近い

剣道の打突後の足さばきも、本質は同じです。

打突の瞬間、左足で蹴っているので多少の推進力はあります。でも陸上選手でも1〜2歩目ではまだスピードは乗っていない。10歩目くらいまで前傾は続きます。

つまり剣道の「打突→寄せ」の区間は、陸上でいう「スタートから10歩目まで」に相当する。ここで体を立てていたら、そりゃ寄せは遅くなります。

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正しい「打突後の前傾姿勢」の作り方

①打つ瞬間は直立(これは変えない)

小手に当てる瞬間までは、体を起こしたまま。これは変えないでください。

直立で打つからこそ、打突力が手先ではなく体全体で伝わります。

②当たった直後に頭を前に突っ込む

打突が当たった瞬間、頭から相手に向かって突っ込むイメージで前傾する。

これは「突っ込みながら打つ」のとは全然違います。打ってから突っ込む——この順番が絶対です。

③体当たりの瞬間に腰を入れる

頭から突っ込んで相手に近づいたら、最後に腰を前に入れ込む

これで体当たりの力も出るし、打突後の体勢もキレイに寄った形になります。

3ステップまとめ:打つ瞬間は直立 → 当たった瞬間に頭から前傾 → 体当たりで腰を入れる。この流れが、寄せの速い選手の共通パターンです。

八段戦を見ても「前傾」は正解です

「前傾姿勢なんて高段者はやらない」と思われる方もいるかもしれません。でも実際に高段者の試合を見てみてください。

先日の高鍋先生の八段戦の面打ちを見ていても、明らかに直立のまま前進してはいません。若干ですが、必ず前傾姿勢になっています。

実際、別の八段の先生と話した時にも、こう言われました。

今の時代は、右足に重心が乗ってる試合じゃないと展開に追いつけない。

とある八段の先生

試合のスピードが年々上がっている現代剣道では、前傾気味で腰を前に動かすスタイルが、打突のスピードに直結するという考え方です。

もちろん昇段審査を極めたい方はまた別の美意識もあります。ただ試合で一本を取りたいのであれば、前傾姿勢は確実に武器になります。

今日からできる3つの一歩

小手打ちの寄せを速くするための、具体的な方法を3つご紹介します。

一歩①:自分の小手打ちを動画で撮る

まず現状把握から。スマホで稽古中の小手打ちを撮影して、打突後の体勢が直立か前傾かを自分で確認してください。

多くの子が「前傾してるつもり」でも、実際は直立のまま。動画で見て初めて気づくことが9割です。

一歩②:一流選手の小手打ちと並べて比較する

世界選手権や全国大会トップ選手の小手打ちをYouTubeで見つけ、自分の動画と並べて再生してみてください。

打った瞬間の頭の位置、体の角度、腰の入り方——違いが一発で見えます。違いが見えた瞬間、改善は始まります。

一歩③:「打ってから頭を突っ込む」だけを10本練習

稽古で小手打ち10本だけ、「打った後に頭から前に突っ込む」一点だけを意識してやってみてください。

他のことは気にしない。打った後の頭の動きだけ。これを1週間続けるだけで、寄せのスピードは確実に変わります。

まとめ:打った後こそ、体を前に倒す

小手打ちが一本にならない原因は、打突そのものではなく「打った後の体勢」にあります。

打つ瞬間は直立。でも打った後は、陸上のスタートと同じで頭から前に突っ込む前傾姿勢が最速です。

小学生の子どもに、こんな細かい体勢の話は難しいでしょうか?

大丈夫です。理屈より「打った後、頭を前に持っていって」の一言で十分伝わります。子どもは体で覚える天才ですから、言葉で言われた通りに動こうとするだけで改善していきます。

小手打ちで一本を取れる選手は、必ず寄せが速い。寄せが速い選手は、必ず打った後に前傾している。この因果関係は、例外がありません。

今日から、お子さんの小手打ちを動画で撮ってみてください。直立のままなら、それが最大の伸びしろです。

小手打ちの前傾姿勢や寄せの実演動画は、メンバーシップで配信しています。試合分析や技の練習解説も含めて、動画で学べます。下の案内からチェックしてみてください。

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