剣道の技一覧【完全ガイド】種類と使い分けを体系化|仕掛け技・応じ技の全技マップ

「面・小手・胴・突き、技の名前は聞くけれど、種類が多すぎて何から覚えればいいのか分からない」。剣道を始めた方や再開した大人の方から、いちばん多くいただく悩みがこれです。
さらに厄介なのが、技が当たっても一本にならないという壁です。実はこれ、技の数を増やす前に「技の地図」を持っていないことが原因のことがほとんどなんです。
- 技の名前は知っているが、違いをうまく説明できない
- 試合でどの技を狙えばいいのか決められない
- 技を増やしても、なかなか一本にならない
- 結局、何から覚えればいいのか順番が分からない
結論からお伝えすると、剣道の技は「面・小手・胴・突きの4つの打突部位」×「自分から攻める仕掛け技/相手に応じる応じ技」という2つの軸で整理すれば、一枚の地図に収まります。
梶谷 彪雅
剣道の全国大会で9回の優勝を経験。現役時代に積み上げた実戦の技を、現在は個別指導やメンバーシップで、試合映像を1コマずつ分析しながら伝えています。
今回の記事で学べることは下記のとおりです。
- 剣道の技の全種類を「打突部位×仕掛け/応じ」のマトリクスで一望する方法
- 仕掛け技・応じ技それぞれの技名と原理が体系的に分かる
- 全国制覇9回が実際に使う技の割合(仕掛け6:応じ4)という一次データ
- 場面別(取り返す/守る/団体戦)の技の選び方
- 初心者が技を覚えるべき順番と年代別の意識ポイント
僕自身、全国大会で9回優勝させてもらいましたが、その中で見えてきたのは「実戦で本当に決まる技」と「知っていても使えない技」がはっきり分かれるという事実でした。
この記事では辞書のように技名を並べるだけでなく、使い分けの判断軸まで踏み込んでお話しします。
まずは、あなたの今の状況に合わせて「最初に覚えるべき技」を早見表にまとめました。当てはまるところから読み進めてみてください。
| あなたの状況 | まず覚えるべき技 |
|---|---|
| 試合でなかなか一本が取れない | 出ばな面・出ばな小手(仕掛け技) |
| すぐ受けに回ってしまう | 面返し胴・すり上げ面(応じ技) |
| 鍔迫り合いで手が出せない | 引き面・引き小手(引き技) |
| そもそも何から始めるか分からない | 一本打ちの正面(面) |

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マンツーマン、または最大3名の少人数で、実際に竹刀を交えて稽古できます。動画や言葉では届かない”手元の違和感”を、1回の稽古で1つ以上持ち帰ってもらう。これが個別指導の一番の価値です。
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剣道の技は何種類ある?|「打突部位×仕掛け/応じ」で全体像を掴む
結論から言うと、剣道の技は数え方次第で無数にあります。ですが「面・小手・胴・突きの4打突部位」×「仕掛け技/応じ技」の2軸で整理すれば、全体像は一枚の地図に収まります。
この章では、まず技名のベースになる「打突部位」を押さえ、次にこの記事の背骨になる「仕掛け技・応じ技」という大分類を確認します。地図の枠組みを先に持っておくと、あとの技がすべてその中に収まっていきます。
打突部位は4つ|面・小手・胴・突き(技名のベース)
剣道で一本になる打突部位は、面・小手・胴・突きの4つだけです。「飛び込み面」「小手面」「返し胴」など、技名の多くはこの打突部位+打ち方の組み合わせで出来ています。
つまり、部位が4つと分かっていれば、技名を聞いたときに「これは面を打つ技だな」と即座に位置づけられます。まずは4部位が技名のベースだと覚えてください。
技は大きく2種類|仕掛け技と応じ技(この記事の背骨)
打突部位の次に押さえてほしいのが、この記事の背骨になる大分類です。剣道の技は、大きく仕掛け技と応じ技の2種類に分かれます。
- 仕掛け技
-
相手が構える前・崩れた瞬間に、自分から先に仕掛けて決める技
- 応じ技
-
相手が打ってきた技に反応し、相手の力を利用して打つカウンター技
この「自分から攻めるか/相手に応じるか」の1本の線が、剣道の全技を仕分ける最大の軸です。あとで紹介する技も、すべてこのどちらかに振り分けられます。
全剣連の「基本技9本」を地図の土台にする(公的引用)
「その分類は本当に正しいの?」と思われた方のために、公的な土台を示しておきます。全日本剣道連盟が定める稽古法では、基本技として次の9本が体系化されています。
基本技は、一本打ちの技・払い技・二段の技・引き技・抜き技・すり上げ技・出ばなの技・返し技・打ち落としの技の9本で構成されています。
全日本剣道連盟『木刀による剣道基本技稽古法』(公式PDF)
この9本のうち、一本打ち・払い技・二段の技・引き技は自分から仕掛ける仕掛け技、抜き技・すり上げ技・返し技・打ち落とし技は相手に応じる応じ技にあたります。出ばな技だけは分類が割れるので、あとで1章を割いて整理します。
それでは、この2軸を掛け合わせて全技を一望できるマトリクスを見てみましょう。自分の得意技がどこに位置するかを意識しながら眺めてみてください。
| 打突部位 | 主な仕掛け技(自分から) | 主な応じ技(相手に応じて) |
|---|---|---|
| 面 | 飛び込み面・出ばな面・払い面・引き面 | 面すり上げ面・小手すり上げ面・小手抜き面 |
| 小手 | 飛び込み小手・出ばな小手・払い小手・引き小手 | 面返し小手・面抜き小手 |
| 胴 | 飛び込み胴・引き胴・逆胴 | 面返し胴・小手抜き胴・面抜き胴 |
| 突き | 諸手突き・片手突き | (突きの応じ技はまれ) |
この一枚を頭に入れておくだけで、新しい技名を聞いても「面を打つ応じ技だな」とすぐ整理できます。技を覚えるとは、この地図のマス目を1つずつ埋めていく作業だと考えてください。
まずは「自分がどの技で点を取りたいか」をイメージすると、覚えるべき技がぐっと絞れますよ
なお、仕掛け技と応じ技をどう配分し、どう戦略に落とし込むかは、下の記事で僕の実戦データとともに詳しく解説しています。この記事の分類のベースにもなっている内容です。

全体像の地図が手に入ったところで、まずは試合の主軸になる仕掛け技から、具体的な技名を見ていきましょう。

仕掛け技の種類一覧|自分から攻めて崩して打つ技
仕掛け技は、相手が構える前や崩れた瞬間に、自分から先に仕掛けて決める技です。僕の実戦では技全体の約6割を占める主軸で、試合を組み立てる中心になります。
仕掛け技は大きく次の4カテゴリに分かれます。まずは全体像をチェックリストで押さえましょう。
- 一本打ちの技(面・小手・胴・突きを単発で打つ)
- 払い技(相手の竹刀を払って崩して打つ)
- 二段・三段の技(小手面・面胴などの連続技)
- 引き技(鍔迫り合いから下がりながら打つ)
| カテゴリ | 技名の例 | 狙う瞬間 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 一本打ち | 面・小手・胴・突き | 相手の構えの隙 | ★(基本) |
| 払い技 | 払い面・払い小手 | 相手の中心が空いた瞬間 | ★★ |
| 二段・三段 | 小手面・面胴・コテ面フェイントコテ | 一本目で崩した直後 | ★★★ |
| 引き技 | 引き面・引き小手・引き胴 | 鍔迫り合いで相手が崩れた瞬間 | ★★★ |
難易度の★は、そのまま稽古で取り組む順番の目安にもなります。焦らず★ひとつの技から固めていきましょう
一本打ちの技(面・小手・胴・突きを単発で)
一本打ちは、面・小手・胴・突きをそのまま単発で打ち切る技で、すべての技の土台です。飛び込み面や出ばな面など、試合でいちばん決まる技もこのグループに含まれます。
地味に見えて、実はここがいちばん奥が深いところです。一本打ちが一本になるレベルまで磨けているかどうかで、あとの連続技や応じ技の精度まで変わってきます。
面が7種類あることや、当たるのに一本にならない原因は、下の記事でまとめています。面カテゴリの受け皿として、あわせて読んでみてください。


払い技(相手の竹刀を払って崩して打つ)
払い技は、相手の竹刀を表または裏から払い、中心を崩してから打つ技です。相手がしっかり構えて中心を取ってくるタイプに対して、崩しの一手として有効です。
ポイントは、払うこと自体が目的にならないようにすることです。払いはあくまで打つための前段で、払った瞬間に一気に打ち切る意識がないと、相手に構え直す時間を与えてしまいます。
二段・三段の技(小手面・面胴・コテ面フェイントコテ)
二段・三段の技は、小手面・面胴のように、一本目で相手を崩し、その反応を利用して二本目・三本目で決める連続技です。試合で得点源になりやすいカテゴリです。
応用として、コテ→面フェイント→コテのように裏の裏をかく3段技もあります。ただ、これには絶対に外せない前提があります。
コテ→面フェイント→コテは「裏の裏をかく」技です。ただし、基本技が一本になるレベルでないとフェイントは絶対に効きません。順番を間違えると、ただのスキになります。
梶谷彪雅
フェイントは「基本の面が本当に来る」と相手が信じるから効きます。基本が甘い人がフェイントから入ると、相手はまったく反応してくれません。連続技は一本打ちが決まって初めて成立すると覚えておいてください。


引き技(引き面・引き小手・引き胴)
引き技は、鍔迫り合いから後退しながら打つ技です。引き面・引き小手・引き胴の3つが基本で、鍔迫り合いの多い試合ほど得点機会が増えます。
ここで多くの人が誤解しているのが、引き技を「下がるついでに打つ技」だと思ってしまうことです。僕の考えはむしろ逆で、引き技は攻めの技です。
引き技の本質は「打つこと」じゃなく「位置を変えること」です。打って下がるのではなく、一歩下がりながら打つ。順番が逆だと前のめりになって打てません。引き技は逃げ技ではなく攻め技です。
梶谷彪雅
使い分けの目安はシンプルです。引き面は相手が押し込んできた瞬間、引き小手は相手が押し返して右手が前に出た瞬間、引き胴は相手が面に来て右脇が開いた瞬間に打ちます。
相手の動きに理由づけできると、引き技の成功率は一気に上がります。「下がるついで」ではなく、相手の反応を引き出してから打つ意識を持ってみてください。


ポイント:仕掛け技は「一本打ち→払い技→連続技→引き技」の順に難しくなります。土台の一本打ちを飛ばして連続技やフェイントに走ると、崩れやすくなります。まずは単発で一本になる技を1つ作ることが最優先です。
自分から攻めて崩す仕掛け技がそろったら、今度はその攻めを逆に利用して返す、応じ技を見ていきましょう。
応じ技の種類一覧|相手の攻めを利用して返すカウンター技
応じ技は、相手が打ってきた技に反応し、相手の力を利用して打つカウンターです。僕の実戦では約4割を占めます。動画で見て学びたい需要が特に高いカテゴリでもあります。
応じ技のタイミングを理解するのに、僕がいつも使うたとえがあります。
剣道はいつも「喧嘩」で例えます。急に殴ったら相手は殴り返したくなりますよね。自分から技を出すと、相手も打ち返したくなる。そこが応じ技のタイミングなんです。
梶谷彪雅
つまり応じ技は、ただ待っているだけでは出ません。自分から仕掛けて相手を反応させ、その打ち返しに合わせる。仕掛け技と応じ技はセットで初めて機能します。
応じ技は大きく次の4カテゴリに分かれます。
- 抜き技(相手の打ちを抜いて空を切らせて打つ)
- すり上げ技(相手の竹刀をすり上げて打つ)
- 返し技(受けてから手首を返して打つ)
- 打ち落とし技(相手の竹刀を打ち落として打つ)
| カテゴリ | 技名の例 | 対応する相手の打ち | タイミング |
|---|---|---|---|
| 抜き技 | 面抜き胴・小手抜き面 | 相手が面・小手に来る | 相手が空を切る瞬間 |
| すり上げ技 | 面すり上げ面・小手すり上げ面 | 相手が面・小手に来る | 竹刀が触れ合う瞬間 |
| 返し技 | 面返し胴・小手返し面 | 相手が面・小手に来る | 受けてから手首を返す |
| 打ち落とし技 | 突き打ち落とし面・胴打ち落とし面 | 相手が突き・胴に来る | 相手の竹刀を下に落とす |
応じ技は「どの打ちに、どう合わせるか」がセットです。表の”対応する相手の打ち”を意識すると、動画も一気に見やすくなりますよ
抜き技(面抜き胴・小手抜き面)
抜き技は、相手の打ちを体さばきでかわして空を切らせ、その隙に打つ技です。面抜き胴や小手抜き面が代表格で、相手の打ちが「大きい」ほど決まりやすくなります。
コツは、竹刀で受けようとしないことです。足と体でかわす意識が抜き技の生命線で、手先で対応すると打点が近くなって崩れてしまいます。
すり上げ技(面すり上げ面・小手すり上げ面)
すり上げ技は、相手の竹刀を斜め上にすり上げて軌道をそらし、そのまま打つ技です。面すり上げ面・小手すり上げ面が基本で、相手の打ちが速いときほど有効です。
すり上げと打突は、別々の2動作ではなくひと続きの1動作で行うのが理想です。すり上げてから打とうとすると遅れます。触れた瞬間に打ち終わるイメージで振ってみてください。
返し技(面返し胴・小手返し面)※人気の返し胴
返し技は、相手の打ちを竹刀で一度受け、手首を返して反対側を打つ技です。面返し胴・小手返し面が代表で、応じ技の中でも特に人気があります。
「得意技は返し胴です」という自己紹介がSNSで拡散するほど、返し胴は剣士の”顔”になりやすい人気技です。一本になったときの気持ちよさも格別ですよ。
返し胴・抜き胴・逆胴といった胴の応じ技は、下の記事で打ち方を細かく解説しています。約9,000字の詳しい内容なので、胴を得意技にしたい方はぜひどうぞ。

打ち落とし技(突き/胴打ち落とし面)
打ち落とし技は、相手の打ってくる竹刀を下に打ち落とし、その勢いで打つ技です。突き打ち落とし面・胴打ち落とし面などがあり、応じ技の中では使い手が限られる上級技です。
応じ技を「その場で反転して」一本にするコツや、突き系の応用については、下の記事で補足しています。応じ技は打った後の姿勢が甘いと一本になりにくいので、あわせて確認してください。


仕掛け技と応じ技の両輪がそろいました。次は、このどちらとも言い切れず分類が割れる「出ばな技」を、すっきり整理していきましょう。
出ばな技は仕掛け技?応じ技?|分類が割れる理由を裁く
ここまで技を仕掛け/応じの2つに振り分けてきましたが、実は1つだけ、サイトによって分類が割れる技があります。それが出ばな技です。
なぜ分類が割れるのか(仕掛け/応じが混在する理由)
出ばな面・出ばな小手は、相手が打とうとした「起こり頭」を打つ技です。自分から攻めて相手を動かす点では仕掛け技ですが、相手の動き出しに合わせる点では応じ技にも見えます。
実際、解説サイトによって仕掛け技に入れる例と応じ技寄りに扱う例が混在しています。だから「どっちが正解?」と混乱してしまう。これは初心者だけでなく、指導する側でも意見が分かれるところです。
梶谷の整理|出鼻技と飛び込み技は「別物」として捉える
僕の整理はシンプルです。出鼻技と飛び込み技はほぼ同時に見えて、実は別物だと捉えています。飛び込み面は自分の間合いで仕掛ける技、出ばな面は相手の起こりに合わせる技です。
この違いを体で理解できると、分類論争に惑わされずに済みます。名前の分類より、どのタイミングで打つ技なのかを体で覚えるほうが、試合ではずっと役立ちます。
出鼻技と飛び込み技の見分け方は、下の記事でさらに細かく整理しています。この2つを混同している人は本当に多いので、ぜひ読んでみてください。

分類のモヤモヤが晴れたら、いよいよ本題です。実戦でこれらの技をどんな割合で使うのか、僕自身のデータで見ていきましょう。
全国制覇9回が明かす「技の割合は仕掛け6:応じ4」|実戦の技選択
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。辞書型のサイトは全技を平等に並べるだけで、優先順位がありません。でも実戦では、使う技には明確な偏りがあります。
梶谷の実際の配分は仕掛け6割・応じ4割
私の技の割合は、仕掛け技が約6割、応じ技が約4割です。ただし相手によっては5分5分になることもあります。全部の技を均等に使っているわけではないんです。
梶谷彪雅
つまり、技を全種類マスターする必要はありません。主軸となる仕掛け技を数本、切り札の応じ技を数本持っておけば、実戦は十分に戦えます。技の数より、決まる技を磨くほうが勝ちに直結します。
技の割合や応じ技の細かいタイミングは、文章より動画で見たほうが圧倒的に分かりやすい部分です。メンバーシップでは実際の試合映像をもとに、技の使い分けを1コマずつ分析しています。
「当てる技」ではなく「一本になる技」を選ぶ視点
6:4という配分の裏には、もう1つ大事な考え方があります。それは当てる技と一本になる技は別物だということです。技を増やす前に、決まる技を選ぶ目を持つことが先です。
どれだけ多くの技を知っていても、決まらなければ試合では意味がありません。この「一本になる技を選ぶ視点」は、次の崩しの章でさらに具体化していきます。
得意技は何個持つべきか(技の引き出しの数)
「得意技は何個あればいいですか?」とよく聞かれます。引き出しは多いほうが有利ですが、大前提として基本技が一本になるレベルであることが条件です。
数だけ増やしても、1つひとつが浅ければ相手には通用しません。まずは主軸の1本を深く、次に2本目・3本目と広げていく。技の引き出しをどう増やすかは、下の戦略記事でも詳しく書いています。

自分の技の配分がイメージできたら、次は試合の場面ごとに、その配分をどう変えていくのかを確認していきましょう。
場面別の技の使い分け|取り返す時・守る時・団体戦
強い選手は「どの技を持っているか」ではなく、どの場面でどの技を選ぶかで差がつきます。ここが、技名を羅列するだけの辞書型サイトにはない意思決定の軸です。
試合の局面は、大きく次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 取り返す場面(負けている・一本を返したい)
- 1本リードで守る場面(勝っている・逃げ切りたい)
- 団体戦での役割(先鋒〜大将で求められる仕事が違う)
取り返す場面|仕掛け技8〜9割で攻め切る
団体戦などで「絶対に取り返さなければ」という場面では、僕の技の配分は仕掛け技が8〜9割まで跳ね上がります。待っていては時間が過ぎるだけだからです。
この場面では、応じ技のように相手の攻めを待つ余裕はありません。自分から仕掛けて崩し、連続技でたたみかける。攻めの圧を絶やさないことが最優先になります。
1本リードで守る場面|応じ技が増える
逆に1本リードしていて守りたい場面では、応じ技の比率が増えます。相小手面・小手返し面・抜き胴のように、相手が焦って出てくるところを確実に仕留める技が中心になります。
ここで挙げた相小手面・小手返し面・抜き胴は、いずれもこの記事の応じ技の一覧で解説した技です。守る場面ほど、応じ技の引き出しがそのまま安心感につながります。
団体戦での役割別の技選択
団体戦では、ポジションによって求められる技が変わります。先鋒は流れを作る先制の一本、大将は勝敗を決める場面での勝負強さが問われます。自分の役割に合わせて、どの技を磨くかを決めるのが賢いやり方です。
守る場面での駆け引きには、相手を出させて仕留める「迎え突き」の考え方も関わってきます。突きの戦略については下の記事が参考になります。

場面ごとの技の選び方が見えたら、そのすべての土台になる「崩し」の考え方に踏み込んでいきましょう。
「当てる技」と「一本になる技」は別物|技リストの手前の崩し
ここは技の一覧そのものより手前の、いちばん大事な前提の話です。どれだけ技を覚えても、崩れていない相手に打つのは”当て”にしかなりません。
一本になる面かどうかは「相手が崩れているか」で決まる
「当たる」と「一本」は別物です。同じ面でも、一本になるかどうかは相手が崩れているかで決まります。崩れていない相手にきれいに当てても、それは有効打突になりにくいのです。
この視点は、技の割合の章で触れた「一本になる技を選ぶ視点」を具体化したものです。技を増やす前に、まず相手を崩してから打つという順番を体に入れることが先です。
一本にならない打突には、共通するパターンがあります。次の3つに当てはまっていないか、自分の打ちを振り返ってみてください。
- 崩さずに打っている(相手が構えたまま打っている)
- 当たって満足している(当てることが目的になっている)
- 前のめりで打っている(体勢が崩れて打突が軽い)
崩す→打つの順番が逆だと「当て」になる
崩す前に打ちにいくと、どうしても前のめりになります。これは引き技で「打ってから下がる」と前のめりになるのと、まったく同じ構造です。順番が逆になると打突が軽くなってしまうのです。
技は「増やす」より「決まる状態で打つ」ほうが先です。当てる技を100個知っているより、崩してから打てる技を3個持っているほうが、試合ではずっと強い。これが技一覧の手前にある本質です。
面が当たるのに一本にならない具体的な原因は、下の記事で3つに整理しています。崩しの感覚を身につけたい方は、あわせて読んでみてください。

崩してから打つ大切さがつかめたら、最後に、初心者がどんな順番で技を覚えていけばいいのかを確認していきましょう。
初心者が技を覚える順番|年代別の意識ポイント
一覧で終わらせず、実際に何から手をつければいいかまでお伝えします。技には覚える順番があり、土台になるのは間合い・足さばき・手の内の3つです。
まずは一本打ち(正面打ち)から|基本技の順に沿う
技を覚える順番は、全剣連の基本技の並びに沿うのがいちばん確実です。次のステップで進めていきましょう。
- 一本打ちの技(正面の面から。すべての土台)
- 払い技・基本の連続技(小手面など崩して打つ)
- 応じ技(面返し胴・小手すり上げ面など)
- 引き技・応用技(フェイントなどの発展形)
この順番を飛ばして、いきなり応じ技やフェイントから入ると、土台がないまま器用貧乏になりがちです。正面打ちが一本になることが、すべての出発点です。
技の土台は間合い・足さばき・手の内(前提の3点)
技そのものより先に磨くべきなのが、この3つです。どんな技も、正しい間合いで、正しい足さばきから、冴えた手の内で打って初めて一本になります。技は、この3点の上に乗る仕上げにすぎません。



年代別の意識|小学生の”交通事故”防止・中高生・大人
技の覚え方は、年代によって意識するポイントが変わります。特に小学生で多いのが、仕掛け技と応じ技の使い分けを知らないことで起きる“交通事故”(同時打ち)です。
相手が来るところは、実は簡単に返せます。ここを知っているかどうかで、同じ稽古量でも伸び方がまったく変わってきます。
小学生は「相手が来るところを返せる」と知るだけで交通事故が激減します。中高生は主軸の仕掛け技を1本磨き込む時期。再開組の大人は、体力より間合いと応じ技で”効率よく勝つ”意識に切り替えると一気に楽になります。
技を一通り覚えたら、ぜひこの記事の冒頭のマトリクスに戻ってみてください。自分の得意技が地図のどこに位置するかを確認すると、次に埋めるべきマスが見えてきます。
覚える順番の地図がそろったところで、技についてよくいただく質問に、まとめてお答えしていきます。
剣道の技に関するよくある質問
剣道の技は全部で何種類ありますか?
数え方次第で無数にありますが、面・小手・胴・突きの4打突部位×仕掛け技/応じ技で整理できます。全日本剣道連盟の基本技は9本です。まずはこの地図で全体像を掴み、そこから1つずつ技を増やしていくのが近道です。
初心者が最初に覚えるべき技は何ですか?
一本打ちの正面(面)からです。基本技の順に沿って、一本打ち→払い技・連続技→応じ技→引き技・応用の順で進めると土台が崩れません。技そのものより、間合い・足さばき・手の内の3つを先に磨くことが上達の近道になります。
試合で一番決まる技は何ですか?
私の実感では、仕掛け技が約6割の主軸で、出ばな面・面・小手面が決まりやすい技です。ただし、どんな技でも相手が崩れているかどうかで一本になるかが決まります。「当てる技」ではなく「一本になる技」を選ぶ視点が大切です。
出ばな技は仕掛け技ですか、応じ技ですか?
サイトによって分類が割れます。自分から仕掛ける要素と、相手の起こりに応じる要素の両方を持つためです。私は出鼻技と飛び込み技を「別物」として整理しています。名前の分類より、どのタイミングで打つ技かを体で覚えるほうが実戦で役立ちます。
得意技は何個持てばいいですか?
引き出しは多いほうが有利ですが、大前提として基本技が一本になるレベルであることが条件です。フェイントなどの応用は、基本が決まって初めて効きます。まずは主軸の1本を深く磨き、そこから2本目・3本目と広げていきましょう。
疑問がすっきりしたら、最後に記事全体のポイントを、もう一度振り返っておきましょう。

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まとめ|剣道の技は”地図”で覚え、詳細は各記事で深掘りする
剣道の技は、辞書のように名前を丸暗記するものではありません。「打突部位×仕掛け/応じ」の地図で全体像を掴み、そこから自分に必要な技を深掘りしていくのが、いちばん効率のいい覚え方です。
- 技は面・小手・胴・突き×仕掛け/応じのマトリクスで一望する
- 全国制覇9回の実戦配分は仕掛け6:応じ4(相手により5分5分)
- 取り返す場面は仕掛け8〜9割、守る場面は応じ技が増える
- 「当てる技」より「一本になる技」を選ぶ=崩しが前提
- 覚える順番は一本打ち→連続技→応じ技→引き技。土台は間合い・足さばき・手の内
この記事の結論:技は数を増やすより、地図の中で「自分の主軸1本」を決めて磨き込むことが最短ルートです。技の習得を最短化したい方は、実際の映像で1コマずつ分析する個別指導を活用してみてください。あなたの技が”当て”で終わっているのか、一本になっているのかが一目で分かります。







