剣道を続けるか辞めるかは「環境」で決まる|進学タイミングでの向き合い方

「うちの子、剣道は好きだけど、中学に上がったら同級生がいなくなる」「進学を機に辞めるか続けるか、本人が悩んでいる」――進路を控えたタイミングで、こうした相談をいただくことがすごく増えました。
先日の彪進杯でも、あるお父さんから真剣な相談を受けました。「小学6年生の息子。6年生は3人いるけど、他の2人は中学で剣道を辞める。中学に上がった時には俺1人になる」と。これは個別の悩みではなく、剣道人口減少の縮図です。
本記事では、進学を控えたお子さんとどう向き合えばいいか、僕自身の中学・高校・大学の進路選択での経験も交えて、保護者の方が明日から使える形でお伝えします。
今回の記事で受け取れることは下記のとおりです。
- 「1人になる環境」でモチベーションが続かない科学的な理由
- 梶谷彪雅の3回の進路選択(中・高・大)で学んだこと
- 「完璧な進路」は存在しない理由と、後悔しない選び方
- 保護者として進路選択で伝えるべき3つのこと
「中学に上がったら、俺1人になる」剣道人口減少の縮図
その小学6年生のお子さんは、もともと「剣道がめちゃくちゃ好き」というタイプではなかったそうです。でも、僕のYouTube動画を見てモチベーションが上がり、彪進杯ではなんと代表戦で2回も勝利。最後は負けてしまいましたが、その勝った瞬間の表情は本当に輝いていたそうです。
勝った時の快感は、忘れられない記憶になります。「剣道っていいな」と思えた瞬間が、その子の中に確かに刻まれている。これは絶対に消えない財産です。
でも、進学で「環境」が一気に変わる
そのお子さんが直面しているのは、環境の崩壊です。
| 段階 | 本人の状況 |
|---|---|
| 小学6年(現在) | 同級生3人で稽古、モチベーションが上がっている |
| 中学進学直後 | 同級生ゼロ、2年生もいない、3年生がいるかも? |
| 中学2年生 | 3年生が卒業したら、ほぼ独り |
| 中学3年生 | 後輩がいなければ、完全に独り |
この状況で「続けるか辞めるか」の決断を、12歳の子に求めるのは正直酷です。保護者の方がどう関わるかが、決定的に重要になります。
「1人になる環境」でモチベーションを保つのは、ほぼ不可能
正直にお伝えします。一人だけでモチベーションを維持するのは、ほぼ不可能です。
人は「環境」に引きずられる生き物
これは僕がVoicyで繰り返しお伝えしてきたこと。人は環境に引きずられる生き物です。切磋琢磨する仲間がいない環境では、どれだけ剣道が好きでも、いずれモチベーションが枯渇します。
- 稽古の手抜きに気づいてくれる仲間がいない
- 競い合う相手がいないので成長の指標が消える
- 「やらない言い訳」がいくらでも作れてしまう
「好き」だけでは維持できないのが現実です。だからこそ「環境の選択」が、何より大事になります。
梶谷彪雅の人生は「環境を変える決断」の連続だった
ここで、僕自身の3回の進路選択を正直に振り返らせてください。
中学:高森中学校への転校
地元の中学に通うか、親元を離れて全国レベルの高森中学校に行くか――この選択を僕は中学1年生で迫られました。
選んだのは後者。結果として「日本一を目指す姿勢」そのものが変わりました。周りに同じ志を持つ仲間がいるだけで、稽古の質も思考の質も、すべて段違いに引き上げられたんです。
高校:九州学院への進学
高校では、地元の福岡で続けるか、強豪・九州学院に行くかで迷いました。「五冠を取る環境に飛び込む」と決めた結果、全国制覇メンバーに入れていただきました。
もしあの時、福岡の高校に進んでいたら?正直、全国大会のメンバーになれていたかどうかも分かりません。「環境が人を作る」――これを僕は自分の人生で証明してきました。
大学:明治大学への進学
実は大学進学の時も、僕には別に行きたい大学がありました。でも、ご縁があって明治大学に進学。最初は迷いもありましたが――
今振り返ると、明治大学に行ったからこそ、今のYouTube活動・剣道事業があると確信しています。もし第一志望に進んでいたら、おそらく警察に進んで全日本選手権を目指す道だったでしょう。それはそれで素晴らしいですが、今の梶谷彪雅は存在しなかった。
3回の進路選択で共通するのは、「迷ったうえで決めた」「決めた後は本気で取り組んだ」――この2点だけです。環境は答えをくれないけれど、本気でやればどの環境でも答えになると学びました。
「完璧な進路」は存在しない、というシンプルな真実
ここから、進路選択の本質に触れます。
「どの中学が正解か」を完璧に決める必要はない
「どの中学に行けば剣道が続けられるか」を、完璧に決める必要はありません。これは大きな救いです。
僕も「高森中学校に転校してよかった」と心から思っていますが、正直、地元で本気で頑張っていたら別の形で成長していたかもしれない。「あの選択をして良かった」は、選んだ後の姿勢で作るものです。
「どこに行ったか」より「そこで何をしたか」
| 結果が出る人 | 結果が出ない人 |
|---|---|
| 自分で選んだと言える | 「親に言われたから」「仕方なく」 |
| その環境で本気で取り組む | 環境のせいにする |
| うまくいかなくても自分の責任と捉える | 他責になる |
| 振り返って「良かった」と言える | 「あの選択が間違っていた」と言う |
つまり、進路は「道具」。使い方次第で、どんな環境も成長の場になります。正解を選ぶのではなく、選んだものを正解にしていく。これが本質です。

保護者として、進路選択で伝えるべき3つのこと
では具体的に、お子さんと進路の話をする時、保護者は何を伝えればいいか。明日から使える3つのフレーズを共有します。
①「本気で強くなりたい?それとも剣道が好き?」
まず、本人の本音を聞きます。
- 「強くなりたい」→ 強豪校・強豪道場へ
- 「楽しく続けたい」→ 続けやすい身近な環境へ
- 「迷っている」→ 両方を体験できる選択肢を提示
本人の本音が分からないと、進路を決めても続きません。「強くなる」と「楽しむ」は両立しますが、優先順位を明確にしておくのが大切です。
②「どこに行っても、そこで何をするか」が大事
進路は「道具」、使い方次第。「あそこに行けば自動的に強くなれる」というのは幻想です。同じ高校に通っていても、本気で取り組む子と流される子で、3年後の姿はまったく違います。
この考え方を、進路を決める前に親子で共有してください。環境にすべてを期待しすぎないことが、長く続けるコツです。
③「外部の機会」を用意してあげる
中学の部員が1人でも、外部で仲間と会える機会があれば、剣道は続けられます。環境は1つじゃなくていいのがポイントです。
| 外部の機会 | 頻度の目安 | 得られるもの |
|---|---|---|
| 稽古会・出稽古 | 月1〜2回 | 新しい相手・モチベーション |
| 道場(少年団以外) | 週1〜2回 | 継続的な仲間・指導 |
| 地区大会・遠征 | 年数回 | 結果を出す機会 |
| 講演会・合宿 | 不定期 | 視野の拡張・気づき |
複数の環境を組み合わせて、お子さんを支えてあげてください。家庭+部活+道場+外部の4本立てが理想です。

個別指導・講演会
日本一9回が、その場で癖を見つけて、その場で直す。
マンツーマン、または最大3名の少人数で、実際に竹刀を交えて稽古できます。動画や言葉では届かない”手元の違和感”を、1回の稽古で1つ以上持ち帰ってもらう。これが個別指導の一番の価値です。
- 日本一9回の経験をそのまま共有(同じ壁は必ず通ってきた)
- 道場・学校・ご家庭の個人稽古、いずれも対応可能
- 初回ヒアリング無料。まずは現状を聞かせてください
※道場・学校単位での講演会・稽古会のご依頼もこちらから承っています。
「他責にしない」生き方を、進路選択で教える
もう一つ、進路選択で僕が大切だと思っていることがあります。それは「他責にしない生き方」を、ここで教えること。
「あの学校に入ったのに勝てない、学校のせいだ」「あの先生だから上手くならない」――こう言い続ける限り、どこに行っても結果は出ません。逆に――
「自分で選んだ環境で、自分の責任で頑張る」と言える子は、どこに行っても伸びます。これは剣道だけでなく、社会に出てからの仕事・人間関係すべてに通じる根っこの考え方。進路選択は、その根っこを育てる最初のチャンスでもあります。
剣道を続けてほしい。でも、続けるかは本人が決める
正直に言うと、僕個人としては「剣道は続けてほしい」と心の底から思っています。「辞める」という選択肢を、軽々しく勧めたくはない。
でも、最終的に決めるのは本人です。親が「続けなさい」と命じて続けた剣道は、いつか必ず爆発します。本人の意志で続けた剣道だけが、長く伸びていきます。
保護者の役割は「続けさせる」ことではなく、本人が前向きに選べる材料と環境を用意してあげること。最後の決断は本人に渡しましょう。
今日からあなたができる3つの小さな一歩
まとめ:自分の信念で選んだ環境なら、どこでも伸びる
本記事の要点を整理します。
- 1人だけでモチベーションを維持するのはほぼ不可能
- 梶谷の3回の進路選択はすべて環境を変える決断だった
- 完璧な進路は存在しない。選んだものを正解にする
- 保護者が伝えるべき3つ:本音を聞く/道具発想/外部の機会
- 進路選択は「他責にしない生き方」を教える機会でもある
- 剣道は続けてほしい。でも、決めるのは本人
剣道は「人間形成の道」です。進路選択もまた、人生の中で何度も訪れる選択の練習の場。「自分で選んだ」と言える経験を、12歳のうちに積めるかどうかは、その後の人生を大きく左右します。
「人のせいにしている限り、どんなにいい環境に行っても失敗する。自分の信念で選んだ環境なら、どこに行っても成長できる」――これが、僕が3回の進路選択を通じて掴んだ確信です。
お子さんの進路、ぜひ親子で真剣に話し合ってみてください。決めるのは本人。支えるのは保護者の方の役割です。一緒に伴走していきましょう。







