2026年魁星旗争奪全国高校剣道大会レポート|秋田商業54年ぶり優勝・大将4人抜きの名場面

秋田商業が54年ぶり優勝|大将の「4人抜き」に鳥肌が立った
秋田県で開催された2026年 魁星旗(かいせいき)争奪全国高校剣道大会が閉幕しました。
男子は秋田商業高校が、なんと54年ぶりの優勝。県勢としては44年ぶり、第1回大会以来の頂点です。おめでとうございます!
今日は男女の結果を振り返りつつ、僕が一番グッときた男子決勝の逆転劇と、そこから学べる「勝ち抜き戦で4人抜きするために必要な力」をお伝えします。
男子・女子の結果
入賞された選手の皆さん、本当におめでとうございます。まずは結果を一覧で振り返ります。
| 順位 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 優勝 | 秋田商業(秋田) | 八代白百合学園(熊本) |
| 準優勝 | 日章学園(宮崎) | 福岡第一(福岡) |
| ベスト4 | 福大大濠(福岡)/九州学院(熊本) | 中村学園女子(福岡)/筑紫台(福岡) |
| ベスト8 | 島原(長崎)/明豊(大分)/東福岡(福岡)/明大中野(東京) | 高千穂(宮崎)/明豊(大分)/東奥義塾(青森)/柳ヶ浦(大分) |
男子準優勝の日章学園は、全国選抜大会で優勝しているチームを最後に破って準優勝という強豪。その日章学園を、秋田商業が決勝で倒しての優勝でした。

八代白百合学園|「全国選抜からの連覇」がどれだけ難しいか
女子優勝の八代白百合学園は、全国選抜大会も優勝してからの魁星旗優勝。これがどれだけすごいか、経験者だからこそ分かります。
全国選抜で優勝した直後は、正直気持ちがホッとしてしまうんです。僕自身も経験しました。そこからわずか数日という短いスパンで気持ちを切り替え、肉体疲労の中で戦い抜いて優勝する——これは本当に難しい。八代白百合さんの精神力・準備力は、本当に別格だと思います。
男子決勝の名場面|大将ただ1人からの「4人抜き」逆転
今大会で一番グッときたのが、男子決勝の秋田商業 vs 日章学園です。
先鋒戦は、日章学園の先鋒が敗れ、秋田商業の先鋒が勝ちました。ところが——そこから日章学園の大熊選手が、秋田商業の先鋒・次鋒・中堅・副将を次々と抜いていったんです。気づけば、秋田商業は大将、小野選手ただ1人が残される状態に。
ここからが本番でした。秋田商業の大将小野選手が、勝ち続けてきた相手を止め、さらに中堅・副将・大将まで——相手を全員倒す「4人抜き」で、逆転優勝を果たしたんです。チームが追い込まれ、大将1人に全てが託され、それを背負い切った。これは、強いだけでは絶対にできません。
この試合で思い浮かんだのが、2013年の玉竜旗決勝です。福大大濠の大将、梅ヶ谷選手が、高輪高校の勝ち抜きで「もう決まっただろう」という空気の中から逆4人抜きで優勝をもぎ取った、あの伝説の試合。
今回の秋田商業の大将と、まったく同じ構図でした。あの時の大将も、一発目から「絶対に抜き返すんだ」という気持ちが前面に出ていて、その覚悟が相手を凌駕していたんです。
勝ち抜き戦で「4人抜き」するために必要な3つの力
では、どうすれば4人抜きができるのか。僕は、3つの力があると思っています。
①「俺が全部取り返す」という覚悟が決まっているか
「絶対に倒す」と口で言うのは簡単です。でも、本当に覚悟が決まっていると、それが試合の前面に出るんです。「ゆっくり長くやろう」ではなく、「決めに行くんだ」という強い気持ち。長くゆっくりやろうとすると相手もやりやすく、自分も疲弊していく。相手を凌駕する覚悟が、外から見ても分かるレベルまで達していることが大切です。
②長引くほど辛くなる「集中力」を切らさない
勝ち抜き戦は、本当に辛い。僕も経験がありますが、「思った以上に体が動かないな」という瞬間が必ず来ます。その中で、集中し続けられるかどうか。ここが二つ目の力です。
③「流れを変える1本」が取れるかどうか
日章学園に「この状態なら、もう優勝あるぞ」というムードが漂う中で、秋田商業の大将が最初の1勝・1本を取った瞬間、「あれ、秋田商業に優勝あるんじゃない?」という空気が一気に生まれる。
審判も観客も、人間です。だからこそ流れ・空気感が、ものすごく大事。追い込まれた側が「逆転あるんじゃないか」と脳裏に思い描き始める、その流れを引き寄せる最初の1本を取れるかどうかが、逆転劇の鍵になります。
日章学園も本当に素晴らしかった|「準備力」の話
負けたチームからも、学べることはありますか?
もちろんです。日章学園側で印象的だったのが「準備力」でした。次鋒・中堅・副将・大将の全員が、「絶対に自分に回ってくる」という前提で準備していたと感じます。回ってきた時に「絶対にこいつを倒す」という気持ちがないと、勝ち抜きは止められません。
そして、秋田商業の大将小野選手の試合展開がうまかった。前技だけでなく、相手が来た後の後打ち、別れ際の引き面——相手が「危ない」と思う場面、打ちにくい場面で、しっかり技を出せていた。僕がよく動画でも話している部分が、まさに光っていました。

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この大会から、今日からできる3つの一歩
「もう無理だ」と思う場面で、「俺がここから取り返すんだ」と思えるか。その差は、試合当日ではなく、普段の稽古で作られます。今日からできることを、3つにまとめました。
- 「負けで自分に回ってきた」想定練習をしておく(どんな場面でも自分は戦える、絶対に取り返せる、という想定を積む)
- 「流れを変える1本」を磨く(この1本で空気を変える、という得意技を徹底的に)
- 決勝戦の動画を親子で観る(「覚悟が試合に出るとはどういうことか」を一緒に感じる)
まとめ:最後まで諦めない——剣道の面白さは、ここにある
54年ぶりという歴史もすごいのですが、僕が一番グッときたのは、大将が最後まで諦めなかった、というシンプルな事実です。2013年の玉竜旗の時も、まったく同じでした。
剣道は、最後の最後まで何が起きるか分からない。だからこそ面白いし、だからこそ稽古する意味がある。皆さんも、自分の試合で「もう無理だ」と思う場面が来たら、今日の話を思い出してもらえたら嬉しいです。4人抜きは、当日の気合いではなく、普段の準備から生まれます。
改めて、秋田商業高校さん、八代白百合学園高校さん、優勝おめでとうございます!
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