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吉野一真が玉竜旗2026で15人抜き|本庄第一の先鋒が語った理由

この記事で分かること
  • 吉野一真選手が「15人を抜けた理由」として自分で挙げたこと
  • 10人抜きの直後と15人抜きの直後、2回聞いて分かった一貫性
  • 先鋒の15人抜きが、チームにとって何を意味するのか
  • 体づくりと、剣道以外の生活で意識していること
  • チームメイト(中堅・大将)が語った、最終日への向き合い方

玉竜旗2026(第97回玉竜旗高校剣道大会)を、福岡の会場から取材しています。梶谷彪雅です。

男子の部で、本庄第一高校(埼玉県)の先鋒・吉野一真選手(3年・三段)が15人抜きを達成しました。2026年7月28日時点で、今大会の男子で15人抜きはこの1人だけです。

この記事は、記録の紹介ではありません。10人抜きを達成した直後と、15人抜きを達成した直後、同じ大会の中で2回、ご本人に話を伺えたの記録です。

結論から書きます。吉野選手が15人を抜けた理由は、ご本人の口から出ていました。

自分は小柄なので、相手より足を使って、相手より先に線を取って技を仕掛けることを意識します

この一言に、すべてが入っていたと思います。

目次

吉野一真選手とは|本庄第一(埼玉)の先鋒・3年・三段

氏名吉野 一真(よしの かずま)
高校本庄第一高校(埼玉県)
学年・段位3年生・三段
ポジション先鋒
玉竜旗20262回戦終了時点で10人抜き、その後15人抜きを達成
最終日の初戦Eパート 三養基(佐賀)と対戦
玉竜旗2026男子 本庄第一の先鋒・吉野一真選手が15人抜きを決めた小手
15人目を抜いた小手(本庄第一・吉野一真選手)

先鋒の15人抜きは、チームメイトが出ないまま3試合が終わるということです

玉竜旗は勝ち抜き戦です。1チームは5人ですから、15人抜きは相手チーム3つを1人で倒し切った計算になります。

そして吉野選手は先鋒です。ここが大事なところだと思います。

先鋒が相手の5人を抜き切れば、その時点でチームの勝ちが決まります。次鋒から大将までの4人は、一度も試合場に立たないまま終わるということです。15人抜きは、それが3試合続いたことを意味します。

本庄第一(埼玉)のオーダー

ポジション選手名学年・段位
先鋒吉野 一真(よしの かずま)3年・三段
次鋒市川 心士(いちかわ みこと)3年・二段
中堅小林 希夢(こばやし のぞむ)2年・二段
副将長岡 律生(ながおか りつき)2年・二段
大将酒井 新太(さかい あらた)3年・三段

3年生3人、2年生2人。全員が二段以上です。

15人抜きという記録そのものの重みと、勝ち抜き戦をどう戦うのかについては、2025年に達成した松村太樹選手ご本人に伺った記事があります。

【1回目】10人抜き直後、2回戦が終わったばかりの時間に

最初に話を伺ったのは、10人抜きを達成した直後でした。2回戦を終えた時点です。

梶谷──10人抜き、おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。

まだ2回戦が終わったばかりで、次の試合もあるので、気は抜けないです

10人抜きは2チーム分です。それを終えた直後の第一声が、この言葉でした。記録の話を一切していません。

6人目に入るとき、何を考えていたのか

勝ち抜き戦で難しいのは、5人を抜いて1試合が終わったあと、そのまま次の試合の1人目に入るところだと思います。相手は新しいチームの先鋒で、こちらは疲れている。ここで何を考えていたのか聞きました。

梶谷──5人を抜いて、次の6人目に入っていくとき、どういう気持ちで臨みましたか。

落ち着いて、焦って打ちに行こうとすると自分は負けてしまうので、落ち着いて試合することを意識しました

「落ち着いて」という言葉が、一文の中に2回出てきました。

抜いている最中は、周りが盛り上がります。そこで自分から取りに行くと、かえって崩れる。それを本人が分かっていて、意識的に抑えていたということです。3年生の受け答えとして、私はここが一番冷静だと思いました。

一番きつかったのは「中堅」

梶谷──6人、7人と抜いていくとき、どの場面が一番きつかったですか。

中堅とかがきつかったです

勝ち抜き戦では、先鋒・次鋒を抜いたあたりから、相手は各校の主力が出てきます。中堅から後ろは、そのチームで勝てる選手が並びます。

練習でやっていたのは、試合形式ではなく「勝ち抜き戦」

梶谷──玉竜旗は勝ち抜き戦です。体力トレーニングなど、特にやってきたことはありますか。

練習で、普通の試合じゃなくて勝ち抜き戦とかをやったりして、体力をつけました

普通の試合稽古ではなく、抜き続けることそのものを練習に入れていたということです。

1試合ぶんの体力と、抜き続ける体力は別物です。同じ相手と1本やって休むのと、休みなく次の相手が出てくるのとでは、消耗の質が変わります。本番で起きることを練習でそのまま起こしていた、ということだと思います。

自分の強みは「ガツガツ攻める剣道」

梶谷──試合の中で、ここは強いなという自分のストロングポイントを教えてください。

ガツガツ攻める剣道の部分です

【2回目】15人抜き直後、第一声は「ほっとしました」

そして、15人抜きを達成した後にもう一度、話を伺うことができました。

梶谷──15人抜き、おめでとうございます。どうでしたか。

ほっとしました

梶谷──疲れましたか。

疲れました

この2つでした。

「嬉しい」ではなく「ほっとした」から始まったこと。そして飾らずに「疲れました」と答えたこと。ここに3年生の最後の夏が出ているように、私には聞こえました。

10人抜きのときと、感覚は違ったのか

梶谷──10人抜きのときと15人抜きのときで、感覚の違いはありましたか。

感覚の違いは、あまりないです

5人ぶん多く抜いても、本人の中で特別なことが起きていたわけではない、という答えでした。見ている側からすると10人と15人はまったく違う数字ですが、戦っている本人にとっては、目の前の一本を続けているだけだったということだと思います。

「自分は小柄なので、相手より足を使って、相手より先に線を取る」

梶谷──戦っている瞬間に考えていたこと、試合に臨む前に考えていたことがあれば教えてください。

自分は小柄なので、相手より足を使って、相手より先に線を取って技を仕掛けることを意識します

この記事で一番お伝えしたいのが、この言葉です。

「線を取る」というのは、相手の竹刀の中心を自分が押さえて、自分の攻めの通り道をつくることです。中心を取られた側は、打ちに出づらくなります。

注目していただきたいのは、「自分は小柄なので」という前提から入っていることです。

体格で上回れないと分かっている選手が、では何で上回るかを決めている。それが「足」と「線」でした。足を使って先に間合いを支配し、中心を取って、相手より先に仕掛ける。

15人抜きは、根性や勢いで生まれた記録ではなく、体格の不利をどう埋めるかを決めきった選手が、それを15回続けた結果だったということになります。

翌日への意気込み「抜いてやろうという気持ちではなく」

梶谷──明日につながったと思います。明日の意気込みを教えてください。

相手も決して弱くない相手なので、強いので、抜いてやろうという気持ちではなく、ちゃんと勝負できるようにしていきたいです

15人抜きを達成した直後の選手が、「抜いてやろうという気持ちではなく」と言いました。ここが、この選手の一番の強さだと思います。記録が出ると、次も抜こうという方向に気持ちが向きます。そこに乗らずに「ちゃんと勝負できるように」と言えるかどうかで、翌日の戦いは変わります。

10人抜きの直後にも「落ち着いて」と話していました。記録が5人分伸びても、言っていることが変わっていません。

体づくりと、剣道以外で意識していること

食事|たくさん食べる。肉も魚も

梶谷──食事の面で意識していることはありますか。

吉野選手は「食べるのが大好き」だと話していました。たくさん食べて体をつくることを意識していて、プロテインも飲んでいるとのことでした。

梶谷──お肉とお魚、どちらが好きですか。

お肉も好きだけれど、どちらも好き、という答えでした。

私生活|掃除など、細かなことも手を抜かない

梶谷──剣道以外で、私生活の部分で意識していることはありますか。

掃除など、細かなことも手を抜かないことを意識している、と話してくれました。

小柄な体格で足と線に賭ける剣道と、掃除を手を抜かないという生活は、私にはつながって見えます。細かいところを省かない人が、15回続けて勝ち切ったということです。

チームメイトが語った、吉野選手と最終日

吉野選手の記録を受けて、同じ本庄第一の選手にも話を伺いました。

中堅・小林希夢選手(2年)

先輩が勝ってきてくれたので、自分は中堅だったんですけど、しっかり前で勝負つけてくれたので感心しました

小林選手は2年生です。3年生の先鋒が前で抜き続けている状態は、後ろで待つ下級生にとって、これ以上ない状況だったと思います。

大将・酒井新太選手(3年・三段)

梶谷──明日の意気込みを教えてください。

さらに相手が強くなっていく中ではあるんですけど、しっかりと自分たち含め、一つ一つ、先鋒から大将まで気を抜かず、自分たちの剣道を貫いていければなと思います

先鋒から大将まで気を抜かずという言葉でした。先鋒が1人で3試合を終わらせた直後に、大将の口から出てきたのが「5人で」という話だったということです。

本庄第一の最終日|Eパート・三養基(佐賀)と対戦します

本庄第一は、最終日(7月29日)の初戦で三養基(佐賀)と対戦します。

このEパートには、10人抜きを達成した高千穂(宮崎)と大分鶴崎(大分)も入っています。記録を出した選手が3人、同じ山に集まっていることになります。

最終日の全対戦カードと、5人抜き・10人抜き・15人抜きの全記録は、速報記事にまとめて随時更新しています。

まとめ|15人抜きは、体格の不利を埋め切った結果でした

  • 玉竜旗2026 男子で15人抜きを達成したのは、本庄第一(埼玉)の先鋒・吉野一真選手(3年・三段)です
  • 抜けた理由として本人が挙げたのは「自分は小柄なので、相手より足を使って、相手より先に線を取る」ことでした
  • 10人抜きの直後も15人抜きの直後も、話していたのは「落ち着いて」「ちゃんと勝負できるように」でした
  • 練習では試合形式ではなく、勝ち抜き戦そのものをやって体力をつけていました
  • 剣道以外では、掃除など細かなことも手を抜かないことを意識していると話しました
  • 本庄第一は最終日、Eパートで三養基(佐賀)と対戦します

大会はまだ続いています。結果が出次第、速報記事のほうを更新していきます。

この記事の引用は、すべて玉竜旗2026の会場で、梶谷彪雅がご本人から直接伺った内容です。

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