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福岡大大濠が玉竜旗2026で3連覇|優勝メンバー5人が語った夏

この記事で分かること
  • 3連覇を果たした福岡大大濠の選手が、優勝直後に話したこと
  • 優勝を決めた返し胴は、狙って打ったものだったのか
  • 大将・三宅選手が3年間貫いてきた「中心」の考え方
  • 「3連覇は気にしていなかった」と複数の選手が語った理由
  • 去年は補欠だった選手が、今年の決勝で果たした役割
  • 玉竜旗に向けて積んできた稽古と、体づくり

玉竜旗2026(第97回玉竜旗高校剣道大会)を、福岡の会場から取材しています。梶谷彪雅です。

男子は福岡大大濠(福岡)が優勝しました。3年連続12回目です。

試合のあと、選手のみなさんにお話を伺いました。3連覇のチームですから、その話が出てくると思っていました。

ところが、誰一人として、3連覇の話から入らなかったのです。

玉竜旗2026男子で優勝した福岡大大濠の記念写真
優勝 福岡大大濠(福岡) 3年連続12回目
目次

決勝のオーダーと、試合の経過

ポジション選手名決勝の結果
先鋒森 慶輔(もり けいすけ)
3年・三段
引き分け
次鋒北条 蒼空(ほうじょう そら)
3年・三段
中堅留場 陽大(とめば ようた)
3年・三段
1本取り返す/引き分け
副将森 大耀(もり ひかり)
3年・三段
引き分け
大将三宅 陽一朗(みやけ よういちろう)
3年・三段
延長で優勝を決める

補欠は杉尾錬心選手(3年・二段)と野田彬人選手(2年・三段)です。

決勝は九州学院(熊本)との対戦でした。昨年の決勝と同じ顔合わせ。先に一本を取ったのは九州学院で、それを中堅の留場選手が取り返し、引き分けが続いて大将戦、そして延長までもつれました。

大将 三宅 陽一朗選手|「特に狙ったわけじゃなくて、無心でとっさに出ました」

玉竜旗2026で優勝した福岡大大濠の大将・三宅陽一朗選手
大将・三宅陽一朗選手(3年・三段)。決勝の延長を返し胴で決めました

まず、優勝を決めた大将から。

決勝の最後は大将同士の対戦でした。九州学院の大将・石橋智紀選手が飛び込み面に跳んだところを、三宅選手が返し胴(左抜け胴)で合わせています。延長で出た一本でした。

梶谷──優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。

本当に信じられない、本当に嬉しいです。

あの返し胴は、狙って打ったものだったのか

一番聞きたかったことを、最後に伺いました。

梶谷──決勝戦の有効打になった胴は、狙って打ったんですか。

あの技は稽古の中で練習はしてたんですけど、特に狙ったわけじゃなくて、やっぱり無心でとっさに出ました。

「稽古では練習していた」けれど「狙ってはいなかった」という答えでした。この2つは矛盾しません。稽古で数えきれないほど打ってきた技だから、考えずに体が出る。応じ技は、そうでなければ間に合いません。

梶谷──どういう技を狙いながら、試合を組み立てようと考えていましたか。

打たれなければ負けないので、そこは落ち着きながら、相手を見ながら、相手の反応をやっぱり確かめながら。最後は相手が出てきてくれたので、もうとっさに。

「打たれなければ負けない」。大将戦で、しかも両チームが並んだ状態です。ここで自分から取りに行かず、相手の反応を確かめ続けた。石橋選手が出てきた、その一瞬だけを使ったということになります。

貫いてきたのは「中心を取って、中心を割って打つ」

梶谷──特に意識して練習してきたことはありますか。

中心をとって、中心を割って打つことを貫いてやってきました。

「中心を取る」は、相手の竹刀の中心を自分が押さえることです。そして「中心を割る」は、中心を、そのまま突き破るように前へ出て打つことを指します。守るのではなく、攻めの考え方です。

ここで決勝の場面を思い出してみます。三宅選手は自分から取りに行かず、相手の反応を確かめ続けていました。一見すると「割って打つ」とは逆に見えます。ただ、中心を取られている側は、いつまでも打てません。どこかで無理にでも出るしかなくなります。石橋選手が飛び込み面に来たあの一瞬は、そうして生まれたものだったのかもしれません。

こただ、三宅選手が3年間貫いてきたことと、決勝の最後の一本は、同じ一本の線の上にあるように思えます。

3年間でついたのは「地力」

梶谷──ご自身の強みを教えてください。

高校に入って3年間で、最初はなかった地力っていうのを。

梶谷──一番きつい練習メニューは何ですか。

長いかかり稽古の中で、地力をつけていくところですね。

食事

梶谷──食事の面で意識したことがあれば教えてください。

しっかりバランスのいい食事と、食べ過ぎず、食べなすぎず、しっかり自分の体に合った食事の量を。

大会公式インタビューでは、こう話しています

表彰後の公式インタビューでも、三宅選手は大将戦について語っています。

決勝戦は回ってくるなと思っていたので、あそこでしっかり力を出せてよかったです。

やっぱり自分たちはインターハイに出れない分、最後という気持ちで、自分と仲間を信じてやってやるという気持ちで挑みました。

保護者の方々、OBの方々、応援してくださっている方々に感謝の気持ちを伝えたいです。本日は本当に応援ありがとうございました。

出典:大会公式インタビュー

先鋒 森 慶輔選手|「最後は大将の三宅がやってくれて」

玉竜旗2026で優勝した福岡大大濠の先鋒・森慶輔選手と次鋒・北条蒼空選手
左が先鋒・森慶輔選手、右が次鋒・北条蒼空選手(ともに3年・三段)

梶谷──優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。

本当に、最後は大将の三宅がやってくれて、本当に嬉しいです。

森選手は、今大会で10人抜きを達成した選手です。その本人が、優勝の第一声で自分のことを一言も話していません。

森選手には、10人抜きを達成した直後にも話を伺っています。そのときも「インターハイに出れない分、玉竜旗で優勝しよう」と話していました。

仲間への気持ち

梶谷──最後に、仲間への気持ちで伝えたいことがあれば教えてください。

保護者やOBや先生方が支えてくださったからこそ、この優勝があったので、本当に仲間にも、全員に感謝です。

次鋒 北条 蒼空選手|「3連覇は意識しなくて、初優勝する気持ちで」

※北条選手の写真は、先鋒・森慶輔選手の項に掲載しています(向かって右)。

梶谷──おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。

前に先鋒で森がしっかり仕事をしてきてくれたので、自分は思い切って勝負するだけだなと思っています。

梶谷──3連覇がかかっていたと思うのですが、意識しながら練習してきましたか。

いや、もう意識しなくて。自分は最初で最後の大会なので、初優勝するっていう気持ちで戦いました。

チームは3連覇でも、3年生の北条選手にとっては、これが最初で最後の玉竜旗です。「初優勝する気持ち」というのは、そういう意味だと思います。

準々決勝では、次鋒から大将まで4人を抜いています

北条選手は準々決勝(対 龍谷)で、次鋒から入って次鋒・中堅・副将・大将と、相手の残り4人を一人で抜き切りました。この試合を決めたのが北条選手です。

仲間への気持ち

梶谷──同じく、仲間への気持ちを教えてください。

森が言った通り、いろんなことで育ててきてもらった分、この玉竜旗で最後の大会になったんですけど、優勝という形で恩返しできて本当に嬉しい気持ちです。

中堅 留場 陽大選手|「去年は補欠という形で決勝の舞台に立った」

玉竜旗2026で優勝した福岡大大濠の中堅・留場陽大選手
中堅・留場陽大選手(3年・三段)。決勝で唯一、一本を取り返しました

梶谷──優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。

本当に日本一取ることができて、この仲間と取ることができて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。

梶谷──決勝戦の舞台で緊張しましたか。

そうですね。去年は補欠という形で決勝の舞台に立ったんですけど、今年は自分がやってやるっていう気持ちで試合をして、少し緊張したんですけど、いい結果で終わることができて良かったです。

ここが、この取材でいちばん重い一言だったと思います。去年は補欠として、あの決勝の場に立っていた。そして今年、先に一本を取られた直後の中堅として出ていき、取り返しました。

決勝で福岡大大濠が唯一「取り返した」のが、留場選手の一本です。あそこで流れが戻らなければ、結果は違っていたかもしれません。

玉竜旗に向けて意識してきたこと

梶谷──玉竜旗に向けて、特に意識して練習してきたところがあれば教えてください。

やっぱり自分の剣道を貫くっていう部分を意識して、毎日の稽古に取り組んできたので、その結果につながったのが本当に良かったなと思います。

一番きつい稽古は「掛かり稽古」

梶谷──大濠の中で一番きつい稽古は何ですか。

やっぱり、掛かり稽古が15分20分とか、玉竜旗に向けてあったので、それを乗り越えてきたので良かったです。

掛かり稽古は、指導者や上位者に対して全力で打ち込み続ける稽古です。剣道の稽古の中でも、体力的にもっともきついもののひとつです。それを15分から20分続けます。

体づくり

梶谷──食事の面で意識していることがあれば教えてください。

自分は一年生の時に食事で、いろいろ食トレしてたんですけど、やっぱり間食を増やすであったり、タンパク質であったり、いろんなものを栄養をよく摂るということを意識してました。

「食トレ」は食事によるトレーニングのことです。私が見た留場選手は、1年生のころとは体つきが変わっていました。

副将 森 大耀選手|監督の息子であり、昨年の大将の弟

玉竜旗2026で優勝した福岡大大濠の副将・森大耀選手
副将・森大耀選手(3年・三段)

梶谷──優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください。

本当に嬉しいです。

森大耀選手は、福岡大大濠を率いる森大樹(もり だいき)監督の息子さんです。そして、昨年の玉竜旗で大将を務め、優勝を経験した森選手の弟にあたります。お兄さんは現在、大学1年生です。

兄が大将で勝った翌年に、弟が副将で戦っている。指導しているのは父親です。3連覇という記録の中には、こういう時間の積み重ねも入っています。

なお、先鋒の森慶輔選手とは同姓ですが別の選手で、兄弟ではありません。

森大耀選手には決勝での戦い方やご自身の強みについても伺っています。録音に不明瞭な箇所があるため、確認が取れ次第この項目に追記します。

5人の話が、4か所で重なりました

別々に話を伺ったのに、言っていることが重なった箇所が4つありました。

重なったこと語った選手
インターハイに出られなかった三宅選手/森慶輔選手
3連覇は意識していない三宅選手「気にしなくて」/北条選手「意識しなくて」
長い掛かり稽古留場選手「15分20分」/三宅選手「長いかかり稽古の中で地力を」
自分ではなく他の誰かの名前から話す森慶輔選手/北条選手/留場選手

インターハイに出られなかったチームが、玉竜旗で3連覇しました

三宅選手は「自分たちはインターハイに出れない分、最後という気持ちで」と話しました。森慶輔選手も、10人抜きの直後に同じことを話しています。

3連覇したチームは、この夏、玉竜旗しか残っていなかったということです。

3連覇を、誰も意識していませんでした

三宅選手は「3連覇とかそういうのは気にしなくて」、北条選手は「もう意識しなくて」。別々に聞いた2人が、同じことを言いましたです。

代わりに2人が挙げたのは、三宅選手が「自分のやってきたこと、チームでやってきたことを全部出し切る」、北条選手が「初優勝するっていう気持ち」でした。

連覇の記録は、外から数えるものです。中にいる選手が見ていたのは、記録ではなく自分たちが積んできたものでした。

全員が、自分ではない誰かの名前から話し始めました

選手最初に口にした言葉
森 慶輔(先鋒)「最後は大将の三宅がやってくれて」
北条 蒼空(次鋒)「前に先鋒でがしっかり仕事をしてきてくれたので」
留場 陽大(中堅)この仲間と取ることができて」

10人抜きをした選手も、準々決勝を一人で決めた選手も、自分の記録の話をしませんでした。北条選手は仲間への言葉でも「森が言った通り」から始めています。

勝ち抜き戦は、一人が抜けばその分だけ後ろが楽になる競技です。だからこそ、前の選手は後ろを思って戦い、後ろの選手は前に感謝する。それが5人の言葉にそのまま出ていました。

まとめ

  • 玉竜旗2026 男子は、福岡大大濠(福岡)が3年連続12回目の優勝を果たしました
  • 優勝を決めた三宅選手の返し胴は「稽古では練習していたが、特に狙ったわけではなく、無心でとっさに出た」ものでした
  • 三宅選手が3年間貫いてきたのは「中心を取って、中心を割って打つ」ことでした
  • 三宅選手と北条選手は、別々の取材で「3連覇は意識していない」と話しました
  • 三宅選手と森慶輔選手は、ともに「インターハイに出られない分」と語っています
  • 留場選手は「去年は補欠という形で決勝の舞台に立った」と話しました

大会の全結果と、5人抜き以上の全記録は速報記事にまとめています。

女子優勝の中村学園(福岡)にも、5人全員にお話を伺っています。

この記事の引用は、出典を「大会公式インタビュー」と記載したものを除き、すべて玉竜旗2026の会場で梶谷彪雅がご本人から直接伺った内容です。

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